「白いリボン」見たよ


第一次世界大戦前夜、大地主を中心に教会や学校のもとでプロテスタントの教えに忠実に日々を送るドイツ北部の小さな村で、数々の不可解な事故が起こる。やがて連なる“罰”の儀式…。疑心暗鬼の村人たち、そして苦しむ子供たち。一体この村に何が起こっているのか――。2009年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品。

『白いリボン』作品情報 | cinemacafe.net

宇都宮ヒカリ座にて。

ハネケ作品は後味が悪いと評判でしたのでビビりのわたしはいままで避けてきたのですが、いろいろと話を聞くうちに何となく興味がわいてきましてこのたび初めて観てきました。結論としてはかなりおもしろかったです。後味がいいか悪いかでいえばたしかにまったくよくないのですが、でもそんなことはまったく気にならないくらいに引きこまれてしまうつよい引力を感じました。


わたしもそこそこ田舎で生まれ育った人間なので、人間関係の濃い地域のもつ空気というのはよく知っていたつもりでしたが、本作の舞台となっている村はわたしの知っているような濃さとは比べ物にならないくらいに、閉鎖的で湿気を帯びた人間関係で満たされていて観ているだけで気が滅入ってきます。
村人たちは、自分や他の村人たち、さらには子どもたちまでもが腹の中にどぶ川のような薄汚い一面を抱えていることから目をそむけてみなかったことにしてしまうのです。
そしてわたしにとって決定的だったのは、先生に池へ行こうと誘われた女の子がやんわりと断ったその意味がうすぼんやりとみえてきたところで「うわー」と頭を抱えてしまいたくなりました。
ただ、小さな村に住んでいて権力者の庇護なしでは生きていくことすらままならない人間にとっては、弱い者同士で結束していかなければ生きていけないという一面もたしかに正しいわけで、観終えた時にはただただいたたまれない気分で満たされました。


とは言え、本作の主張が「田舎は閉鎖的で排他的で最低だ!」だけだったとは思えませんし、これがリアルだ!と感じるような内容でもありませんでした。ただ、ひとつの物語としてとても説得力を感じるすばらしい作品でした。


公式サイトはこちら