天才遺伝子科学者コンビのクライヴとエルサは、人間と動物の遺伝子を合成させてハイブリット・アニマルを産み出す禁断の技術を完成させた。ドレンと名付けられたその異形の生物は急激な早さで成長し、人間の女性に似た姿へと変貌する。
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横浜ブルク13にて。
本作を観に行く前に「すごく変な映画」という評判を聞いていたので期待して観に行ったのですが、その噂にたがわぬ、ユニーク過ぎるくらいユニークな映画でした。ただ、わたしが観る前に覚悟していたユニークさとは全く別方面のユニークさでして、予想に反してかなりの衝撃を受けてしまいました。。。
観ながら、思わず「これは参ったな...」とつぶやいてしまうほどの強烈なインパクトを残す作品であり、終始目をそらしたい展開の続いたので死んだ魚のような目をしながら鑑賞しました。ものすごく危険な香りがただよう超ヤバい作品でして、観終わってから既に3回くらい夢に観てしまうくらい、忘れられない作品でした。
嫌いというわけではないのですが、観たという事実以外はもう忘れたい...。
いろいろと書くためにはネタバレを避けては通れないので、以下ネタバレ込みで続きます。
未見の方やあまり情報を仕入れたくない人は読まないことをおすすめします。
まずは簡単にストーリーの復習から。
クライヴとエルサは人と動物の遺伝子を掛け合わせて新たな生命を作る研究をしていたのですが、その成果が実って着床させることに成功します。その研究は会社の方針や倫理的な問題もあってその生命の育成は極秘に進められますが、そんな中、ものすごいスピードで成長していた実験体はあっという間に成体へと成長します。その成長した姿に危険をおぼえたクライヴは実験体を殺そうとしますが、研究への執着とおかしな母性に目覚めてしまった(なんでそんな感情をもっていたのかは後述)エルサが実験体を殺すことに反対し、まるでわが子のようにかわいがって育て始めるのです。
エルサのサポートもあって、最初は異形でしかなかった実験体が徐々に姿人間に近づいていき、言葉も理解できるようになっていきます。そんな中、エルサの来ていたシャツに書かれた"NERD"という文字を読めたことに感動したエルサはそれを逆から読んだ"DREN"(ドレン)を実験体の名前にします。
その後、ドレンの成長や研究施設を取り巻く状況の変化もあって実験施設の中で育てることが難しくなったために、既に誰も住んでいないエルサの実家にドレンを引っ越させることになります。
そしてドレンが引っ越したあたりから、クライヴとエルサ、そしてドレンの関係は徐々に変わっていきます。
まず、ドレンを作る際に使われた遺伝子はエルサのものであることが判明します。当初、エルサがドレンを執拗にかばい続けたのは遺伝子的には本当にドレンの母親だったからなのです。
ところが、最初は従順だったドレンも少しずつエルサの言うことをきかなくなり、そのことでエルサがドレンに厳しく当たるようになります。そしてそれとは対照的に、当初はドレンを育てることに反対していたクライヴが徐々にドレンへの愛情を示すようになるのです。そして当然、エルサよりもクライヴにべったりとくっついて甘えるようになるドレン。その3者の関係は、まるで同性である母親を疎んで父親にすり寄る娘とそんな娘に対してつい甘い顔をしてしまう父親のように見えます。
そんなある日。
仲直りをしようと、以前ドレンから取り上げた猫をエルサが返したのですがあっさりとその猫を殺してしまったことをトリガーにして、エルサはドレンを縛り付けて彼女のしっぽを切り取ってしまいます。
エルサが帰った後もドレンは縛り付けられたままになっていたところ、そこにクライヴが現れてドレンを解放。そしてなぜかドレンに興奮してしまったクライヴはそのままドレンとセックスをしてしまいます。おい!娘みたいにかわいがってたくせにそこでしちゃうのかよ!
さらに絶頂に達しそうになったドレンは再生した切られたしっぽでクライヴを殺しそうになるのですが、そこにエルサが現れて殺されずに済んだのですが、浮気現場を見てしまったわけですから事態はさらに混沌としてしまいます。
# この時点ではドレンはクライヴ(男)とセックスしているので性的には女性です
その後、いろいろとありましたがその数日後にドレンは突如原因不明のまま死んでしまいます。
悲しみや安堵の感情を抱えながら、エルサとクライヴはドレンを埋葬するのですが、何とドレンは復活を遂げるのです。実はドレンは死んでいたわけではなく、性別が変わる際に一時的に仮死状態になっただけだったのです。
性別的に男になったドレンはとても凶暴で、周囲にいた研究員やクライヴの弟を次々と手にかけていきます。
クライヴはノックアウトされ、エルサもそこそこ痛めつけられてほとんど動けない状態になったところで、ドレンはエルサを犯します。その数日前にはクライヴに犯されてたドレンが、エルサを犯す側に回るって...。そこに割って入ったクライヴですが、隙を見せたためにドレンに殺され、その隙にエルサがドレンを殺して事態は一旦収拾。
ラストでは、ドレンの子を身ごもったエルサがその子を会社に売り渡す約束をしておしまいと。
私の説明が拙いことを差し引いても、いろいろと穿った見方の出来るとても癖のあるストーリーだというのがお分かりいただけると思います。というか、普段は観た映画のことを3日と覚えていないわたしが、10日経った今でもストーリーをここまで覚えていること自体が相当ショックを受けた証拠とも言えます。
一部錯誤している部分があるかも知れませんのでその点はご指摘いただきたいのと、あとは物語の中心を登場人物の相関に重きを置いているため、研究所の状況については一切触れていませんが、お話としてはおおむねこんな感じの内容です。
まずこの作品から見えてくる最も大きいトピックは倫理の欠如は必ず問題を生み出すということ。
これについてはもうストーリーそのままなので特段付けくわえる点はありません。
そしてもう一点、大きな問題提起としてはエルサ、クライヴ、ドレンの関係から見えてくるものはなにか?ということです。
わたしは親子関係の変遷をどこまで汎化出来るのか?という疑問に対するひとつの答えであり、汎化出来る要素でその関係性を構築しながらもその主体を人間ではなく実験体に据えることで、この状況の異様さをとても強く感じさせる演出となっていると感じました*1。
率直に言って、この3者の関係からはとても受け付けがたいものを感じたし、それがどういう理由に基づく感情なのか?というのはあまり考えたくないなと思っています。薄々とわかってはいるんですが、正直踏み込みたくないと感じてるんですよね...。
すごい作品だというのはわかりましたが、好きにはなれないなあ。。。
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