「[リミット]」見たよ


イラクで働くアメリカ人労働者ポール・コンロイは襲撃を受け、目覚めたら棺に入れられ土の中にいた。手元にあるものは充電切れ間近の携帯電話、オイルの尽きかけたライター、ナイフ、ペン、酒。なぜここに入れられたのか? 限られた時間の中でポールはここから脱走できるのか?

『[リミット]』作品情報 | cinemacafe.net

シネマハーヴェストウォークにて。


幼い頃から高所恐怖症というウィークポイントをもっていましたが、大人になってからは閉所恐怖症という弱点も手に入れました。
高いところも狭いところもダメっていうのはずいぶんと人間として狭量のような気がするのですが、でもこれらは単なる好き嫌いという生易しいものではなくて、「特定の状況に対して感じる本能的な恐怖」ですからこればかりは避けようがないのです。
頑張って克服するというのも何だか違うなとわたしは思うのですが、そんなわたしの近況はともかく、30を超えてからは高いところよりも狭いところが大嫌いになっています。


そんなわけで、本作の「生きたまま狭い箱に入れられて土の中に埋められる」というシチュエーション自体が個人的にはアウト!
しかもこれがまた超リアルなんですよ。頭と足の方向を入れ替える程度の事すらまともにできないくらいに狭いし、暗いし、たぶん臭いし、何だか息苦しそうだし、もう閉じ込められていることを我がことのように辛い気持ちで受け止めながら鑑賞しました。


本作で一番びっくりさせられたのは、場面がこの箱の中を映し出すシーンから一切変わらないのです。
箱の中だけ。Inside the Box Only.。何で日本語と英語で書いたのか分かりませんが、とにかく最初から最後までずっと箱の中で話が進んでいくのです。ただでさえ、狭いシーンは見たくないのに最初から最後まで箱の中って言う時点でもうびっくりです。
ひとつの場所で物語すべてを展開させて観客を2時間惹きつけるというその力量は本当にすばらしいと思いますが、結局誰もが予想できる範囲に着地してしまうラストには正直がっかりしてしまったんですよね。サプライズがいいとは言いませんが、もう少し練りようがあったんじゃないの?と。
何で彼は土の中に埋められてるの?とかラストはどうなってしまうの?という部分、もしくは本当に埋められてるの?なんてことまでいろいろと考えながら、みな相応の理由を想像しながら観ているわけですが、ところがどっこい(死語)何にも考えてなかったのかいと。


上でも書いたとおり、箱の中だけで2時間引っ張るその構成や演出のうまさはすばらしいと思うのですが、でも閉所恐怖症をガマンしながらたどり着いた結末があんなのか...という残念な気持ちには勝てませんでした。


公式サイトはこちら