「美晴さんランナウェイ」読んだよ

美晴さんランナウェイ (集英社文庫)

美晴さんランナウェイ (集英社文庫)

叔母さんは、トラブルとともにやってくる。27歳未婚。定職ナシ。男を見る目ナシ。いつも厄介を引き起こしては投げ出して―『笑う招き猫』の山本幸久が描く“居候美女”の痛快爽快・逃げっぱなし人生

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わたしが幼い頃は、我が家はいろんな人が一緒に住んでいました。わたしの両親や弟だけではなく、父の兄弟や祖父、祖母が一緒に住んでいていい意味でも悪い意味でもにぎやかな毎日だったようです。
子どもの頃は、単純にたくさんの人がいる方が楽しいんだと思っていましたし、一緒にいるのが親だけではないことの良さはすごく感じていました。母親に怒られても祖母がかばってくれたり、祖父が変なものを拾ってきてはわたしにいろいろと教えてくれたりしてくれたことは本当によかったと思うのですが、一方で大人視線で見るとたくさんの人が同居するのってホントめんどくさいことなんですよね。


子育ての仕方ひとつとってもそれぞれに重きを置く部分が違いますから、その齟齬がわずかであっても不愉快に感じたりすることも少なくないでしょうし、やはり大人が他人と一緒に住んで生活を共にするのって価値観のぶつかりあいの毎日だと思いますので正直すごく大変に違いありません。
# そんな生活はしたことがありませんけど...。


本作は、自身の赴くままに行動する変わり者のある女性(父親の妹)が同居していたり、父親の弟の息子が同居することになるというとてもユニークな家族環境におかれた中学生の物語ですが、その経験を通して「人間の多様さ」を学び「それを受け入れる心構え」を身に着けていく様子がとても心地よい作品でした。
「女優は私生活が乱れていた方がいい演技をする」という言葉がありますが、普通の人間も家庭環境がそこそこ複雑な方がいい影響があるのかも知れないなと思ったのでした。