- 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
- 発売日: 2008/11/19
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第二次世界大戦中の1944年3 月、ベルリン南東160km のザーガンにあったドイツ空軍の管理する連合軍の航空兵捕虜収容所から捕虜が集団脱走した史実を映画化したものである。当時、1943年末頃まではムスタングのようなドイツ奥地まで爆撃機を長距離護衛できる戦闘機がなかったイギリス軍やアメリカ軍の爆撃機部隊は、ドイツ空軍の優秀な迎撃戦闘機部隊やレーダーに連動する高射砲部隊の健闘によりドイツ上空で多数が撃墜、あるいは不時着、多くの連合軍航空兵が捕虜となり、各所の捕虜収容所に収容されていた。ザーガンもその一つである。捕虜となった軍人の務めの一つとして、収容所を脱走してその捜索にドイツ軍兵力を割かせ、味方前線部隊の負荷を削減することがあった。
大脱走 - Wikipedia
TOHOシネマズ宇都宮にて。午前十時の映画祭にて鑑賞(11本目)。
映画が始まって音楽が流れ出した瞬間、聞き覚えのあるテンポのよい曲にのせられて一気にテンションが跳ね上がりました。脱走というネガティブな言葉とは対照的に、まるでピクニックに出かけるように明るく楽しいリズムがすごく心地よくて、まだどういう話なのかもわからないうちから期待が膨らんでしまいました。
さて。まずは見ての感想といきたいところですが、本作は捕虜として捕らえられた各国の軍人たちがあの手この手で脱走を繰り返す様子を描いた物語なのですが、率直に言って最初はいったい何がどうなっているのかさっぱり理解できませんでした。軍が軍人を軟禁している理由もよくわからなかったし、なぜ軍から軍人が逃げようとするのかもよくわからなかったんですよね。
そんなチンプンカンプンのまましばらく見ていたら何とか全容がつかめたわけですが、午前十時の映画祭でとりあげているような昔の洋画って結構こういうのが多いんです。現代の作品のように丁寧に導入部を作ってそこで前提やら流れを説明したりせずに、いきなり本題に入る感じ。こういった最初から剛速球をズドンと投げ込んでくる感じってすごく苦手だなーと感じる反面、結構嫌いじゃありません。
突然真っ暗闇に放り込まれて不安でいっぱいの状況から、徐々に光がさしてきて周囲が見えてくる楽しさは一度味わってしまうと病み付きになってしまいます。もちろん最初の不安な状態というのはなかなかストレスフルなのですが、それよりもそこから解放されたときの快感の方が魅力的なんですよね。
前半から中盤にかけての脱走出来るのかどうかわからずジリジリとした焦燥感にかられながらも目が離せない危うい展開は本当におもしろかったし、後半の果たして逃げ切れるのかどうかという逃亡劇もそれまでとは違った緊張感が映画を支配していてとても興奮します。
170分と超長い上映時間は決して短くはありませんでしたが、それでも飽きさせずに観る人を惹きつけてやまないすばらしい作品でした。
そういえば「パピヨン」「ブリット」に続いて3週連続のスティーブ・マックイーン作品でした。調べてみると徐々に古くなっているのでスティーブ・マックイーン自体はどんどん若くなっていったことになるのですが、たしかに過去の2作品よりも若さあふれる瑞々しいな表情がとても印象に残りました。卓越したアイディアと行動力で飄々と脱獄を繰り返す彼の姿はなかなかかっこよかったです。
さらに、彼は「パピヨン」でも散々独房に入れられていたのですが、この作品でも何度も何度も独房に入れられた挙句エンドロールでは「独房王」と呼ばれていたのがすごくおかしかったです。たしかに独房に入れられるような悪さをやりそうな風貌ですし、独房が似合う役者なんですよねー。
スティーブ・マックイーンの主演3作品をとおして観た感想が「独房が似合う男」というのは失礼かも知れませんが....。