「クヒオ大佐」見たよ


自称米軍パイロットで、父はカメハメハ大王の子孫、母はエリザベス女王の妹の夫のいとこ、ジェット機を操り世界中を転戦――。こんな嘘八百の経歴と巧みな変装で、推定1億円を女たちから騙し取った希代の結婚詐欺師・クヒオ大佐。彼の嘘にまみれた人生と彼を取り巻く3人の女たちの人間模様とありえない恋の結末を描く。原案は吉田和正の「結婚詐欺師・クヒオ大佐」。

『クヒオ大佐』作品情報 | cinemacafe.net

宇都宮ヒカリ座にて。


「ブサイクの法則」
ある行動パターンを持つ人にはブサイクが多い、という、わたしが勝手に考えて勝手に名付けたこの法則は、今のところなかなか高確率でその規則性の正しさを証明しています。ではどういう行動パターンを持つ人にブサイクが多いのかということを説明したいのですが、もしこの法則をすべてあけっぴろげに公開してしまうと大変多くの方からご批判をいただくことが容易に想像できます。先日、アニメのアイコンの人は思慮が足りないとつぶやいた方がこっぴどく叩かれているのを見て学習しましたので(参考)、これからはあまりうかつなことは言わないよう細心の注意を払って生きていこうと心に決めたのです。


でまあ、数ある「ブサイクの法則」の中から、あまり多くの人から反発されなさそうな法則をチョイスして紹介すると「結婚詐欺をする人はブサイク」というものが挙げられます。


いつ見たのか忘れたのですが、夜の7時あたりにやっていた犯罪追跡番組みたいなので、結婚詐欺犯の過去の写真みたいなのが公開されてたのを見たときに「こんなブサイクにだまされる奴がいるのか...」と驚いたことがとても印象深いのですが、とにかく結婚詐欺をした人の写真を見るたびに*1こんな程度の容姿であっても異性からお金をせしめることが出来ることに、というかこんな容姿の人にだまされる人がいるという事実に、いいようのない不可解さをおぼえるのです。


現実を見つめればこれはもうわたしの勝手な思い込みだったことは明らかなのですが、結婚詐欺という異性を手玉に取ってお金を騙し取ることができる人というのはきっと美男/美女に違いないという確信をもっていたのですが実際は全然そんなことはないのです。ブサイクばっかり。
結局、結婚詐欺をはたらくときは顔のよさはさほど大事ではないし、むしろ相手を油断させるためにも積極的にブサイクであることが推奨されるということを最近とてもよく理解したのです。


本作で描かれるのは、「どうみてもこんな奴にだまされるのはおかしいだろう...」というような人にあっさりだまされていく人たちの姿であり、わたしもなぜ出てくる女性たちがこんな見た目からして怪しいエセ外国人にだまされてしまうのか冒頭はとても理解に苦しみました。
その不可解さは物語が進むんでもなかなか解消されなかったのですが、ラストでクヒオ大佐が発した「だましたわけじゃない。相手が望むことをしただけだ」という、いかにも詐欺師の言いそうな言葉を耳にしたときにたしかにそのとおりだなとだまされた女性の心理がとても腑に落ちたのです。
もてない人間だからこそ分かるもてない人間の気持ちというものがあると思いますし、そういった同類の心の機微をつかむうまさこそがブサイクが結婚詐欺にむいているもっとも大きな理由であると思うのです。


ラストに向けてちょっと演出が雑になっていく印象を受けましたが、全体としては非常に楽しい作品でした。
いかがわしい詐欺師という役柄でありながらも、それでも堺さんはすごく魅力ある存在に見えました。


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*1:と言ってもそんなに見る機会はないのですが