「のだめカンタービレ 最終楽章 前編」見たよ


プラティニ国際音楽コンクールで優勝した千秋(玉木宏)は、エリーゼ吉瀬美智子)の差し金で、若き日のシュトレーゼマン(竹中直人)が指揮を務めた「ルー・マルレ・オーケストラ」の常任指揮者となる。だが、大雑把すぎる演奏に全くやる気のないオケの態度を目の当たりにして、千秋は愕然とし、失意のどん底に…。一方、のだめ(上野樹里)は、コンセルヴァトワールの進級試験を終え、練習に励む毎日。そんな中、転入してきた孫Rui(山田優)が千秋の次の公演で一緒に手を組むことに。落ち込むのだめだったが、千秋を気遣い、健気に振舞う。そして準備不足の中、マルレ・オケの公演の日がやってくる――。二ノ宮知子の大ヒット漫画をドラマ化した、人気TVドラマ「のだめカンタービレ」を2部作で映画化。後編は2010年春公開予定。

『のだめカンタービレ 最終楽章 前編』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。


TVドラマの再放送を見た時も感じたのですが、この作品の実写化は原作のノリというか空気を非常にうまく映像化していて非常におもしろかったです。ドラマ版を見た人はもちろんですが、原作しか読んだことのない人でもスッと作品の世界に溶け込める工夫が随所に見られました。
ただ、何の説明も無く外国人全員が日本語吹き替えだったり*1、原作を意識し過ぎた演出が鬱陶しく感じられたりと、一部微妙なところもあるにはあったのですが基本的には楽しく鑑賞出来ました。原作、ドラマファンは必見です。


前にも書いたことがあるのですが、わたしは上野樹里が大好きだった頃があります。
そもそもわたしが映画にのめりこむようになったのは「虹の女神」という作品を観たことがきっかけでして、自然とその主演である上野のことも大層気に入ってしまったのです。というわけで、上野はわたしの映画生活のスタート地点や礎とも言える人なのです。
こういう経緯もあって、わたしにとっては「虹の女神」の佐藤あおいや「幸福のスイッチ」の稲田怜のような不機嫌キャラこそが上野樹里の魅力を一番感じられる役だと思っています。願わくば、上野樹里に「ホントもう何やってんのよ...」と怒られた後に「でも好き」みたいなことを言われたいと今でも思ったりします。


とまあ、わたしの嗜好はさておいて、一般的に上野の代表作と言えば「スウィングガールズ」や本作「のだめカンタービレ」でしょうし、そのこと自体には心の底から同意します。両作品共に上野のコメディエンヌとしての魅力を放ちまくっているすばらしい作品ですし、興行成績的にも文句のつけようのないくらいヒットしているので世間への認知度も間違いなく高いはずです。
それについては一切の異論はありませんが、一方でわたしは今回この映画を観てものすごく不安を覚えたんですよね。不安というのはちょっと大げさかも知れませんが、のだめという役があまりにはまり過ぎてしまったためにこの役のイメージが世間的な上野樹里のイメージになってしまうことが残念だと感じているというのが、より正確な表現かも知れません。
実はこれについては上野に限らず玉木宏も同じことが言えて、あまりにこの作品における玉木が千秋先輩のイメージどおりというか、とにかく適役過ぎることに漠然とした不安を覚えてしまうのです*2


正直こんな心配をするのはおかしいのかも知れませんが、でもそのくらいこの作品での上野/玉木の適役さというのは抜群なんですよね。だからこの作品に限って言えば文句のひとつも出てこないんですよ。そのくらい原作を忠実に表現した作品であり、特に上野の表情表現のひとつひとつは目を見張るものがあります(ファンの身びいき)。


ちなみにこの作品のオープニングはすごくよかったです。
一切の説明の無いままに描かれていく溜めの部分と、オーケストラの開始と共に堰を切ったように音があふれ出して物語が始まる開放の部分の対照的な演出が観ている者を一気に作品の世界へ連れ出してくれます。こういう掴みがしっかりしている作品に、わたしはどうにも弱いようです。


公式サイトはこちら

*1:あとで「吹き替えになるよ」的な説明はありました

*2:実際、ドラマ版ののだめ以降の出演作はどれも微妙な作品ばかりですよね...