「カールじいさんの空飛ぶ家」観たよ


一人暮らしの孤独な老人・カールじいさんはある日、“驚くべき方法”で冒険の旅に出発することに! それは、思い出が詰まった我が家に、無数の風船をくくりつけて、大空を旅するというものだった…。『モンスターズ・インク』のピート・ドクター(監督)と、『ファインディング・ニモ』の脚本を手がけたボブ・ピーターソン(共同監督)がタッグを組んだ感動作。ピクサー初のディズニー・デジタル 3-D版同時公開。

『カールじいさんの空飛ぶ家』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。3Dの字幕版を観てきました。


昨年「WALL・E」を観たときに、言葉による説明がほとんどないのに一切の不足なく物語が語られることに心底度肝を抜かれたのですが、この「カールじいさん...」もそれに負けないくらいに驚きをふくんだすばらしい作品でした。
既に観た人の間では話題になっていたのですが、冒頭のカールとエリーの半生をダイジェスト映像で振り返るシーンの破壊力は予想以上に強力で、冒頭からやられてしまったなあというそれだけしか思い浮かばないくらいにグッときたし、見入ってしまいました。
カールとエリーが夫婦として歩んだ道のりはけしてこんな数分で描かれる程度にシンプルではないはずなのだけれども、でもそのエッセンスを的確に抜き出して丁寧に描いたのが伝わってきたし、かなりポイントを突いて描いていたのが印象的でした。
あのシーンを観ながらわたしの頭の中はカールじいさんと完全にシンクロしてしまったので、一連のシーンが終わった瞬間からわたしはすっかりカールじいさんになったつもりで作品の世界にのめりこんでしまいました。
何事もつかみが重要だと思うのですが、きっちりと最初を抑えてくれたのでその後は本当にその場にいるような臨場感を味わいながら作品を鑑賞しました。臨場感を演出するという観点からも、3Dで観れたのもすごくよかったです。
ただ、3Dで字幕というのはちょっと目が疲れたけど...。


大事なものは何なのか?
過去にとらわれることなく、常に自分がいま一番大事だと思うものを守って生きようと思える作品でした。超すばらしかった。
昨年のWALL・Eに続き、今年のピクサー作品も大傑作でした。

以下ネタバレ混みで続きます。




長かった人生の大半を共にした妻の生前の願いを叶えたい。そんな思いからカールじいさんは旅に出るわけですが、その旅の中で実はエリーは生前すでに彼女の願いを叶えていたことを知ります。


幼い頃。出会ったばかりのカールに「パラダイスの滝の上にこの家を持っていってそこに住みたい」という自分の冒険の夢を語ったエリーですが、その後の人生をカールと一緒に歩み、さまざまな嬉しいこと、悲しいことを共に経験し、その一つ一つが人生の起伏を味わう冒険になっていったのです。エリー本人はもう夢を叶えていたと思っていたのです。


大好きな人に夢を語るとき。例えばそれを語ったのが幼いときであればあるほど、一番大きな夢を語りたがるというのはどの時代でもどの世界でもだいたい同じと相場がきまっています。
エリーだってそう。同じ冒険好きとしてとても気に入ったカールに、自分が温め続けた一番大きな夢を「この人と自分の一番大きな夢を共有したい」と願って熱く語り、自らの思いのたけを差し出したはずなのです。そしてカールはその思いに感化され、そして長い間、大事に大事にその夢を叶えてあげたいという気持ちを持ち続けたということがわたしにはとても尊いことだと感じます。


生前はカールの生きがいとなり、亡くなってからもなおカールに生きる糧、意志を与えてくれるエリーの存在にとてもグッときました。
晩婚化が進んでいるだけでなく結婚すること自体の意味が問われている今だからこそ、こうやって共に支えあって人生を歩むすばらしさを伝える映画が作られたのかも知れないと感じました。大好きな人と観に行ってほしい作品です。


公式サイトはこちら


(追記)
書いてから気付いたのですが、公式サイトのURLに含まれているcarl-gsanで吹いてしまいました。gsan==じいさんって...。