優秀でまじめなエリート銀行員、結城美智雄(玉木宏)の裏の顔は次々と人を殺める冷酷な殺人鬼。殺人の事実を知った結城の幼なじみであり、神父の賀来裕太郎(山田孝之)は、結城の犯行を阻止し、救済しようと苦悩する。そんな中、結城は化学兵器「MW」を手にして遂には世界を滅ぼそうと企むのだった…。果たして、賀来は結城を止めることが出来るのか? そして2人の過去に秘められた悲しき運命とは? 悪を体現する殺人鬼を通して、現代社会の病理を浮き彫りにした、手塚治虫原作の同名漫画の映画化。
『MW -ムウ-』作品情報 | cinemacafe.net
TOHOシネマズ宇都宮にて。
幼い頃に住んでいた島を殲滅されたことに対する復讐と、その事件に関わるMW(ムウ)という謎の言葉の意味するものを知るため、次々と関係する人たちに手をかけていく結城。そしてその結城の行為に気付いた賀来や沢木が彼の行動を阻むために奔走するというのがこの作品のおおよその流れになります。本作は"MW"という大きな謎を中心に据え置いて話を進めることで、観ている人の興味をまったく途切れさせることなく2時間グイグイと引っ張られるように鑑賞しました。
MWの正体はそれほど意外なものではなくてその点はわたしの期待し過ぎに終わってしまいましたが、それでもストーリーの盛り上げ方はとてもすばらしくて非常に楽しめました。さらに玉木宏ファンのマコ*1はとても満足できたようでしたので、特にキャストに思い入れのある人にはたまらない作品であることは間違いなさそうです。
すごくいい作品でした。
わたしもマコには負けますがでも玉木宏はすごく大好きです。ですが、この作品を観て、彼には本当の悪というか性根が悪い役というのはなかなか似合わないなと感じました。彼は声が低いのでその点はとても悪向きと言えますし、表向きの顔として演じていた銀行員はすごくはまっていたのですが、実際に悪事を働こうというときの彼には本当に悪い人というオーラが見えてこないのです。クールで頭が切れるというのは伝わってきたけど、悪い人っぽさが出てなかったんですよねえ。
それは彼の人柄からくるものなのか、それとも演技力に起因するのかは分かりませんが、もっと悪い雰囲気が出てたら良かったのになという点だけはちょっと残念でした。
そういえば、この作品の公開直前にテレビドラマが放送されてそちらも観ていたのですが、あれは観ておいてよかったです。
直接的なつながりはほぼないのですが、登場人物の過去の物語を知っているというのはそれだけで興奮度を上げてくれます。特に本作でひどい目に合わされることになる橘刑事については、ドラマ版を見た人とそうでない人で反応が大きく変わりそうです。
映画本編の中だけではとても短期間過ぎて橘刑事の人となりを知って感情移入するのって不可能だと思います。そこに至るまでの時間を長くするなどの工夫がもう少しあってもよかったかなとは感じました。
そして改めて思ったのは、このような映画を主軸としたスピンオフドラマはできるだけ繰り返し放映して欲しいなということです。このドラマも、「見ていなくても本編は問題なく楽しめるけれど、でも見ておいた方が楽しめる」という位置づけではありますが、それであれば、なるべく映画に観に来てもらえるように繰り返し流してもいいんじゃないかと思うんですよね。そしてそれは映画を観終わって初めてそのドラマに興味をもった人へのフォローにもなるわけですから、決して無駄にはならないと思うのです。
今年の1月に公開された「誰も守ってくれない」も同様なスピンオフドラマを公開日に放映していましたが、あれなんかもこの後一度も再放送されていなかったはずで、見逃した人へのフォローがものすごく足りないなと感じていてその点がとても不満に感じていました。
と書いていて気付いたのですが、もしかしたらDVDになった時に特典として入れようとか思ってるのかも知れませんね。
だとしたらとても残念だなあ。
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*1:嫁