グラン・トリノ


仕事を引退してからはビールを飲み、月に一度理髪店に通うという決まりきった生活を送る元・軍人のウォルト(クリント・イーストウッド)。彼の亡くなった妻は、最後に彼が教会で告解をすることを願っていたが、ウォルトにはその気は一切ない。そもそも彼には信頼のおける人がいなかった。そんなウォルトに転機が訪れたのは、愛車の“グラン・トリノ”が盗まれそうになった夜だった。彼が嫌悪するアジア系移民の不良集団が、内気な少年・タオ(ビー・バン)に盗みを強要したのをきっかけに、ウォルトはタオと接するようになる。この出会いが、思いがけない友情につながり、2人の人生は変化を見せていく――。

『グラン・トリノ』作品情報 | cinemacafe.net

宇都宮ヒカリ座にて。クリント・イーストウッド監督作品の最新作。
いやー、参った...。普段はエンドロールは観ずに席を立つことが多いのですが、この作品は2つの理由からエンドロールが終わっても席を立つことができませんでした。


ひとつ目の理由はエンドロールの映像と音楽がすばらしかったということ。
舞台となったデトロイトの初夏を思わせるような乾燥した空気と日差しを感じさせる映像は眺めているだけでとても心地よく、湖のほとりの道路とそこを走る車というなんてことのない風景とそれをバックに流れる「グラン・トリノ」という曲を聴いていたら、最後まで観ないで帰ろうなんてことはまったく考えもしませんでした。
エンドロール冒頭の歌いだし部分はクリント・イーストウッドが歌っているのですが、ラストまで観た後だとこれがすごくしみます。


そしてもうひとつの理由は、とてもこのままでは人前に出ることは叶わないような顔だったためです。もうラスト30分は涙腺が崩壊してしまい、とても人様に見せられる姿ではありませんでした。あの顔のまま外に出ていたら近くの交番で呼び止められて職務質問されたとしてもけっして文句は言えなかったと思います。公然なんとか罪とかそういう罪状がついてもおかしくないくらいです。
観終わってみんな退席してからトイレへと駆け込み、思いっきり顔を洗ってからやっと帰途につきました。


先日鑑賞した同監督の「チェンジリング」もかなりすばらしい作品でしたが、この「グラン・トリノ」もまた形容する言葉が見当たらないほどの傑作でした。もうグッとくるとかそういう次元ではなく、2mくらいの大男に胸倉をつかまれて振り回されているようなそんな迫力/威力を感じさせる作品でした。本当にすごい...もうわたしにはそうとしか言えないのですが、ものすごいパワーを感じる作品だということだけはまちがいなく言えると思います。


ラストについては賛否はあるでしょうし、個人的にもこれを是とは認めたくありません。
それでもここに至るまでに見せたウォルトの変貌を見れば、彼がとった選択の意味もまた理解せざるを得ないし、この作品のラストはこうなるべきなのだという説得力はものすごく感じられます。


うまくまとまらないのがとてももどかしいなあ...。
全然伝わらない文章になってしまいましたが、ぜひGWには多くの人にこの映画を観て欲しいなと思います。


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