昴−スバル−


バレエ好きの双子の姉弟、宮本和馬と宮本すばるは、学校の帰り道、いつもバレエ教室を覗いてはバレリーナに憧れていた。ある日、和馬が脳腫瘍で倒れてしまう。すばるは、和馬を勇気づけようと毎日のように病室で即興の“猫ダンス”を踊る。だが、和馬はこの世を去ってしまった…。傷心のすばるは、ふと場末の小劇場“パレ・ガルニエ”に足を踏み入れる。そこは、病院で知り合ったおばさんや五十嵐鈴(桃井かおり)がオーナーを務める小劇場だった。この出会いによって、すばるは和馬の残した“ダンス”の世界へと、のめり込んでいく――。バレエに命を捧げる天才少女ダンサー・宮本すばるの成長を描く。

『昴−スバル−』作品情報 | cinemacafe.net

宇都宮ヒカリ座にて。


内容も知らずにこの作品のタイトルを初めて見たときに、てっきり谷村新司の半生を描いた作品なのかと思っていました。
と言うのも、実は一ヶ月ほど前に公開された映画で「旅立ち〜足寄より〜」という作品があったのですが、この作品は松山千春の自伝を元に彼の半生を描いた作品だったのです。
「いったいどういう人がこういう作品を観に行くんだろう?」と非常に興味がわいてきてしまい、思わず観に行きそうになったのですが、他の観たい作品を消化しているうちに気付いたら上映が終わっていました。時間とお金は有限なリソースだということを考えればこれでよかったのでしょうが、どういう人たちが観に行っていたのかという点については今でもとても気になっています。


そんなわけで、タイトルを見ての勘違いは「芸能人が自分の半生を書籍化してそれを映画化する」というのが流行っているのかと勘違いしてしまったところに起因しているわけですが、残念ながらというか当然というか、そんな作品ではありませんでした。
本作は人気コミックの映画化だそうですが、いかにもマンガ的な無理のある展開さえもうまく映像化されていて非常に受け入れやすかったし、原作はまったく知らない私でも楽しめました。
また、この手の「芸術の天才」をテーマに扱った作品は演じる側に高い演技レベルが要求されるのですが、わたしがバレエを全く知らないためでしょうが、さほど違和感を覚えずに観ることが出来たのも非常によかったのではないかと感じます。


上にも書きましたが、マンガが原作であり、それを忠実に映像化しているために細かい部分でのご都合主義的な展開というのはどうしても避けられません。そこを許容出来るかどうかがこの作品を楽しめるかどうかというポイントではないかと思います。

例えば、弟が死にそうになっている病室で踊り狂うすばるの姿はなかなか狂気が漂っていて香ばしかったですし、バレエの選考会で周囲に踊りをあわせることが出来ずに一度は落選したすばるがとった訓練方法もぶっ飛んでいてかなり参りました。
普段このような「えー...」と感じる部分があるとさっと冷めてしまうことが多いのですが、なぜかこの作品はそれはそれとして受け止めることが出来たためにさほど気にならず、最後まで楽しく鑑賞出来ました。演出がうまかったのかも知れませんが、非常に楽しく鑑賞出来ました。


非常にユニークな作品でよいと思います。


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