- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1978/12/01
- メディア: 文庫
- 購入: 11人 クリック: 349回
- この商品を含むブログ (174件) を見る
人の心を読む能力を持つ火田七瀬は、超能力者であることを悟られることを恐れ、家政婦の仕事をやめて旅に出る。その途中、夜行列車内で同じ人の心を読める能力を持つ幼い少年ノリオと出会い、さらに予知能力を持つ画家の青年恒夫に出会う。恒夫は列車が事故に遭うこと予言し、七瀬らは途中の駅で降りる。その後、他にも超能力を持つ仲間と出会うが、一方で超能力者抹殺をもくろむ集団の存在を知り、立ち向かってゆく。
七瀬ふたたび - Wikipedia
3部作の第2作目。
一番最初に読んだ本がこれだったせいか、一番好きな作品だし、一番気になっている作品でもあります。
本作では、七瀬がさまざまな能力者と出会うのですが、ある人とはこれからの人生を共にする覚悟をし、ある人とは戦い、ある人とは別の道を歩むことを決意します。それぞれの能力者が持つ能力はいずれも違うのですが*1、「自分自身はこの世界では異端者なのだ」という自覚は誰もが持ち合わせているというのは面白いと感じたし、その唯一の共通点が時には強力な仲間意識を生んだり、逆に危険な敵対者であるという認識を生むというのは非常に興味深かったです。
異端者同士、仲良くすればいいんじゃないの?などとわたしは思うわけですが、結局人が多く集まれば、それだけたくさんの欲望が渦巻くわけでそこは人間であろうと能力者であろうとさほど変わらないわけです。
あと、この作品のラストについて以前はまったく意味がわからなかったのですが、完結編である「エディプスの恋人」を読んだときにやっと全容が理解出来ました。
2度繰り返して読んだことで得た一番の成果は、この本の結末が理解出来たことだったような気がします。