葉桜の季節に君を想うということ

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)

こと女に関してはからっきし意気地のない後輩・キヨシに拝み倒されて、南麻布の愛子嬢の屋敷を訪ねたのが事件の発端だった――。なんでもやってやろう屋・成瀬将虎は悪質な霊感商法事件に巻き込まれ、一方では運命の女・麻宮さくらとのデートもこなさなければならず大忙し。果たして事件は無事解決するのか、そして将虎とさくらの恋の行方は? 最後の一ページまで目が離せない、本格魂に満ちた一作。

『葉桜の季節に君を想うということ』歌野晶午 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS

最近ミステリーに分類される本を立て続けに読んでいたので、多少のトリックやどんでん返しでは驚くことはないと高をくくっていましたが甘かった...。
もう最後のネタばらしのところまで一切それと気付かずに読み進めてしまいました。そしてあまりの展開にしばし呆然。この茫然自失感は過去に味わった事のないほどの強烈さです。強いて言うならば、映画のアヒルと鴨のコインロッカーを観た時の感覚が近いような気がしますが、それですら今回の驚きには遠く及びません。
ミステリーを読むときは心のどこかで「だまされないぞ」と構えているものなので、感心することはあっても驚くことはそれほどないはずなのですが結局先入観がなくなっていたわけではなかったんですね。いやはや、本当に参りました。


また、そのラストに至る過程も非常に秀逸で、450ページの厚さながら途中だれる事がありませんでした。最初から最後までそれこそ寝る間を惜しんで読みきりました。さまざまな時間/場所を変えて繰り広げられるいずれの物語も気になることづくしで、途中で読むのを止めるのがこれほど苦痛だった作品はここしばらくありませんでした。


この結末を知った上で、もう一度読もうと思います(というかもう既に読み始めてたりしてw)


[追記]
ネットで感想を検索してみると意外に好意的な感想が多くて安心しました。
いや、わたしはすごく面白くて好きなのですが、このあまりに強烈なミスリードに不満を漏らす人も多いのではないかと思っていましたがそれほど心の狭い人はいないようです。よかったよかった。