呉清源 極みの棋譜


昭和3年、中国・福建省から海を越えて、類まれなる才能を秘めたひとりの少年が日本へやって来た。名前は呉清源。のちに昭和の日本囲碁界で一時代を築き上げ、“囲碁の神様”と崇められた実在の棋士である。反中派による脅迫、戦争による家族との別れ、王者の地位を揺るがした事故の後遺症、そして同志の死、幾多の困難を乗り越えながら、囲碁の追究に人生を捧げる彼の波乱に満ちた半生を描く。『百年恋歌』のチャン・チェンが呉清原を演じきる。

『呉清源 極みの棋譜』作品情報 | cinemacafe.net

宇都宮テアトルにて。
囲碁の神様と呼ばれた呉清源の一生を描いた作品。神様とまで呼ばれた人が歩んだ人生はどのようなものだったのか、とても興味があったので見に行ってきました。


私が囲碁のルールを知ったのは大学生の頃でした。当時、同じ学部の友達が将棋同好会に入っていまして、彼らについていって部室で将棋を眺めることがよくありました。将棋同好会の部屋は一つの部屋をカーテンで二つに分けたうちのひとつでして、残りの半分は軽音同好会の人たちが使っていました。
さらにその二つに分けた部屋に囲碁と将棋の碁盤が置かれていて、将棋、囲碁それぞれの同好会の人がそこでゲームに興じていたのです。それぞれと言っても、囲碁もやるし将棋もやる人がほとんどだったためか、いつも合同で和気藹々とやってて私はいつもそれを眺めていました。
さてルール覚えたので、たまに指すようになったのですがあまりに弱過ぎて全く相手になりません。同好会とは言え、小さい頃から趣味で続けてきた人ばかりなので、皆強いんですよね。いつもハンディキャップをもらってやっていたのですが、負けん気が強いわけでもなく、そしてそれほど好きなわけでもなかった私はいつまで経っても上達しなかったのでいつしか対局する事自体しなくなりました。もう勝てる気がしなくなったのです。
そして入学してからしばらく経ったある日、同好会のメンバーが今度大会に出るということで私も興味があって見に行くことになりました。いつも私をコテンパンに叩きのめす友達がどれだけ勝てるのか興味があったのですが、ふたを開けてみたら誰一人勝てませんでした。しかもいつも私がやられているようにコテンパンにされていました。


こうなってくるともう強さのインフレです。


私 << (越えられない壁) << 同好会の友達 <<< アマチュアの強い人 << (越えられない壁) << プロ


私はこのような完全実力社会でそのヒエラルキーの頂点に立つ人間がどのような人なのかすごく興味があるのです。才能*1ある人たちの中を戦って勝ち抜く人がどんな人なのかすごく知りたいのです。残念ながら、この作品からは呉清源がどれだけの天賦の才を持っていたのかは図り知る事は出来ませんでした(それでも当時の戦績を見る限りは図抜けた存在だった事は間違いはなさそうですが)。
常人とは掛け離れた能力を有する人が持つ「人を惹きつけるなにか」を見たり知りたかったです。

# 私はアーケードの格闘ゲームが大好きだったのですが、格闘ゲームで最も有名なプレイヤーの梅原大吾君も同じ意味で惹きつけられます


ひとつ残念だったのは序盤と終盤があまりに駆け足過ぎてストーリーが追いにくかったところです。特に序盤の展開の早さは異常だし、その後のフォローも弱いのでさっぱり追いつけないところがいくつかありました。囲碁が好きで囲碁の歴史に詳しいとか、呉清源に憧れているとか、そういう人にお奨めできますが、そうでない人(私もその口ですが)にはちょっと難しい作品です。


公式サイトはこちら

*1:あまり好きな言葉では無いのですが、これに変わる言葉を知らないのです...