- 作者: 羽生善治
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/07/01
- メディア: 新書
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私は非常に優柔不断でして、とにもかくにも物事が決められません。お昼に食べる弁当を選ぶといったささやかな事から、人生の岐路とも言うべきことを決める時に至るまでとにかく悩んでしまいます。
そんな悩んだ時にはどうするのか?
私は選ぶべき選択肢それぞれの情報をかき集めて、どちらがいいのか天秤にかけて決めることにしていますが、これをやると各々のいい点、悪い点が見えてくるだけで決定的な要因にはならず結局悩む要素が増えるだけです。ここまでくるともうどれだけ優柔不断なんだよ...と自分でもイライラしてきます。
では、なぜ私がいろんな事を決める事を躊躇してしまうのか。
それは誤った選択をしてしまうことが怖いのです。将棋で言えば誤った一手を打ってしまうことを恐れています。ご存知の方も多いと思いますが将棋は一度打った手は二度と戻せません。待ったをしても待ちませんし、手は戻りません。
それは、時間に対して常に不可逆に進み続ける現実と正に同じことなのです。
将棋は決められた時間内に考え付く限りの次手を考え、膨大な数の手の中から自らが一番と信じる手を決める事がゲームが進んでいきます。
対して。
日常でも些細な事から重大な事を含めれば、人生は常に選択、決定の連続です。何かを決めながら生きています。
一手も無駄にしたくないと思うのは人生も将棋もどちらも一緒です。
では将棋のプロ==決断のプロである羽生さんが最良の決断をするために心がけている事は何かというと、
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- 直感の7割は正しい
- 情報は「いかに捨てるか」が大事
- 決断とリスクはワンセット
という事のようです。たしかに情報が多ければいいというものではないというのは↑に書いたとおり実感があります。だから自らが何かを決める時には直感を信じ、自らが選び出した情報と照らし合わせて次の一手を考えるというのは理にかなった方法のように感じます。
また、決断をしたらリスクはとらないといけないというのは至極当然のことですが、私はこれをなかなか認められなかった。それは決断はともかく、それに付随するリスクなんて極力とりたくないという甘えでしか無い事は誰の目にも明らかです。決定したらそれには必ず結果がついてきます。その結果の良し悪しをまず受け止め、それを受けて次に活かせればいいだけなのです。
失敗した結果を受け取ることは他者にダメだしされているような気になってしまいますが、その悔しさが無いと次もその次も何も変わらないことにもっと早く気付くべきでした。
そうそう。
将棋の世界の変貌については、以前梅田さんと羽生さんの対談を何かで読んだ記憶があったのでそれほど驚きませんでした。が、それでも変わりゆく現状に柔軟に対応していくその様子をうかがうと、やはり彼は一流の人なんだと感じさせられます。強さだけではなく、その棋譜や状況を知っているかどうかという「勉強熱心さ」がなければ勝てなくなった現在でもなおその強さを保てるのは本当に素晴らしいの一言です。
私のように物事を決めるのが苦手な人にお奨めです。