キサラギ


 グラビアアイドルの如月ミキが自殺を遂げて、早1年が経っていた。
 今でも彼女を想い、インターネット上のファンサイトで知り合った5人の男が一周忌追悼会を開くことになった。集まったのは、サイト管理人の家元(小栗旬)、追悼会を企画したオダ・ユージ(ユースケ・サンタマリア)、スネーク(小出恵介)、安男(塚地武雅)、イチゴ娘(香川照之)。初めて顔をあわせた5人は、ミキの思い出話に花を咲かせ、大いに盛り上がろうとする。「彼女は、自殺なんかする人じゃない」。如月ミキの明るいイメージから、そこにいる誰もがそう思っていた。どこか釈然としないやるせなさが最高潮に達した瞬間、誰かが口を開く。
「彼女は殺されたんだ…」
この発言が引き金となり、5人の男たちによる怒涛の推理が始まった! 次々と判明する意外な事実。しかし、真相に近づいたかと思われるたびに新たな疑惑が生まれ、事態は想像もつかない方向へと突き進み始める。果たして、ミキの死の真相は? 5人は行く着く先でなにを見るのか?

http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=7505

TOHOシネマズ宇都宮にて。


アイドル追悼のために集まったその場所だけで繰り広げられる犯人探求劇は、まるで演劇を見ているかような展開。唯一、回想シーンについては別の場所での撮影が使われていましたが、それ以外はもう本当に驚くくらい場面が全然変わりません。最初の部屋固定なのです。それなのに作品を見ていても全然マンネリ化してこないのは、ストーリー展開の上手さによるものです。
当初は単なるファンだと思っていた人たちが実は...という、新事実発見が頻繁に発生してそれがそれまでの疑問への解となっています。そしてそれによって新しい謎が発生するという常に新しい展開が生まれる状況なので、常に興味が惹かれる状態を保てるのです。


あとは、ストーリーのまとめはいいまとめ方だったなぁと思います。見ていて誰にも犯人になって欲しくないという想いがあったのですが、それについてはちゃんと納得の出来るまとめ方をしてくれたし、そもそも各人演じるキャラクターはそれぞれ適した役どころに収まっていました。配役については全く不満ありません。ドランクドラゴンの塚地さんなんてコントのままのようなキャラクターはかなりツボでした。特に今回はアイドル好きのオタクが集まったという話なだけに、塚地さんのいかにもそれっぽいキャラクターはとても貴重な人材だったと思います。


あと、エンドロール直前の大磯ロングビーチでのイベントを盗撮した動画を見ながらの5人のオタ芸はすごいよかった。人目を憚らずに自分がやりたい事、好きな事をやるってのはすごくいいなと思うのです。自意識過剰なだけで何も出来ない私には、彼らのつめの垢でも煎じて飲ませてやりたいです。
それにしても小出君のオタ芸はキレが良過ぎた。オタ芸という名前はついているけども、結局かっこいい人がやったらかっこよくなってしまうのだなと思いました。


全体的にすごく面白い!!ラブ!!っていう作品ではないけれど、ドキドキしながら次の展開を待てるいい作品だと思います。プレステージと比べるのはどうかとは思うのですが、オチを楽しみに待てるという意味では似たような作品かも知れません。小栗君や小出君など出演者に興味があるのであれば、こちらをお奨めします。


[追記]
google検索などで来る検索ワードを見ると、キサラギ+犯人で来る人が多かったのでネタばれ含めてまとめます。ネタばれを見たくない人は見ないで下さい。


(1) サイト管理人の家元
彼女に合計200通のファンレターを送り返事をもらうなど、他のメンバーを凌駕するくらい熱烈なファンだと自称していたが、実は他のメンバーが如月ミキ本人と面識がある事を知り落ち込む。彼女に送付したファンレターが焼死の間接的な原因となる。


(2) 追悼会を企画したオダ・ユージ
如月ミキの元マネージャ。彼女のファン達に付けられたあだ名が「デブッチャ」(デブで茶髪)。彼女の焼死からの一年間、自殺ではないと信じて真犯人を探し続けたために激ヤセした(55kg減)。イチゴ娘を犯人とにらむも実は違っており、また彼の態度が彼女を自殺に追い込んだのではないかと疑われてしまう。



(3) スネーク
如月ミキが通っていた雑貨屋の店員。彼女の好きなキャラクターであるラッキーチャッピーを通じて仲良くなり、一度彼女の部屋に行ったことがある。さらにその時に告白済み(やっ君が好きだからと即フラれる)。
彼が届けたラッキーチャッピーのボトル6本セットにサラダ油と台所洗剤を誤って使用してしまい、彼女が焼死してしまったので彼にも一部責任がある?かも。


(4) 安男
如月ミキの幼馴染のやっ君。結婚を約束した仲であり、彼女から電話で相談を受けたりしていた。
焼死した当日は彼女の部屋にゴキブリが出ており、それに台所洗剤を使用するようアドバイスしたのはやっ君。ただし、彼女が誤ってサラダ油を撒いてしまったために火災となってしまった。そのため彼にも責任があるかも。


(5) イチゴ娘
如月ミキの部屋に侵入するなどストーカー疑惑をかけられるものの、彼女が死亡した当日は無銭飲食で拘留されていたために無罪確定。
実は如月ミキのお父さん。



結局、彼女が亡くなったのは

    1. ゴキブリが出たので家庭用洗剤で撃退しようとする(誤ってサラダ油を撒く)
    2. 結局撃退出来ず、諦める
    3. アロマキャンドルを付けて寝る
    4. 地震発生 → ロウソクが落ちて火事になる
    5. 家元にもらったファンレターを取りに戻り焼死


という事のようです。5人が関わっているのは間違いありませんが、誰かが殺したとか誰かが悪いとかそういった原因ではないので安心しました。


公式サイトはこちら