「note」を始めて6日目の雑感


4月7日にnoteというウェブサービスがリリースされました。



サービスの概要をざっくりと書くと「他のユーザーとお金のやり取りができるSNS」です。

と書くと何やら怪しげな感じになってしまいますが、要はおもしろいモノを作ったり書いたり(描いたり)写真を撮ったりすることができるクリエイターたちが自分のアウトプットを有料/無料の情報として公開し、有料のものに対しては他のユーザーがお金を払える仕組みのあるSNSです。


noteには使い方の説明がまったくないのですが、noteをリリースしたピースオブケイクの代表者である加藤さんがリリースに際してサービスの説明を載せていたので引用します。

本日、新サービスnote(ノート)をはじめます。noteは、個人のクリエイターが、自分のメディアとしてコンテンツを発表するためのプラットフォームです。

noteをはじめました。|加藤貞顕|note


あと動画もありますが(リンク)、noteの用途がイメージとして伝わりやすくてよいと思います。



さて。
わたしはクリエイターではないのですが、新しいモノは大好きなので発信者側としてではなく受け手側としてこのサービスを使ってみようとサービス開始直後に登録しました。そしてこの6日間使ってみましたが、想像していたとおりだったところもあれば、想像とは違っていたなと思う部分もありました。

そんなところをまとめてみようと思います。


(良かった点)

  • 「好きな人にお金を払えること」はうれしい
  • 機能は豊富だけど画面はシンプル


(まだ期待値には達していない点)

  • 自分が興味のあるクリエイターが少ない
  • SNSとしてはまだまだ使いにくさが目立つ

[よかった点] 「好きな人にお金を払えること」はうれしい


noteを運営しているのはピースオブケイクという会社なのですが、この会社は「cakes」というサイトも運営しています。
「cakes」はクリエイターがデジタルコンテンツで収入を得るためのインフラを目指して作られたサイトでして、その発想にとても共感をおぼえたわたしは購読して毎週楽しく拝読していました*1


その「cakes」について、以前「ケイクス購読のすすめ」というエントリーで利用した感想を書いたのですが、その中で「こんなふうになって欲しい」という意見をいくつか挙げましたが、そのうちの以下の2つはこの「note」で実現できていることに気付いてうれしくなりました。

(1) 投げ銭

ULOGでやっているのを見ていいなと思っていたのですが、おもしろいエントリーにはチップを渡せるという仕組みは欲しいです。

ケイクス購読のすすめ - 子持ちししゃもといっしょ

(2) 書き手単位で購入

ケイクス全体を週刊誌としてとらえた場合、たとえば書き手という単位や連載という単位でくくり、ある程度まとめて単行本のように買うというのもいいなと思います。好きな人の書いたものをまとめて買いたいという要望ってないですかね?

DRMについては考えないといけませんが、電子書籍として売るのもいいんじゃないでしょうか。

ケイクス購読のすすめ - 子持ちししゃもといっしょ


noteでは発信者側が自らのコンテンツに値段を付けて発信できます。

価格付けは100円単位で行うことができるし、どこまで無料でどこから有料かという線引きも発信する側が決めることができます。その柔軟性のおかげで、「内容はまったく公開せずに読みたい人はお金を払ってね」ということと、「テキストは全部公開するからおもしろかったらお金を払ってね」ということが両立できます。

すばらしい!

好きなクリエイターの作品を直接購入することができる一方で、まったく興味が無かった人の作品でもひととおり触れてすごくよかったらお金を払うということもできる。前者は通常の商品を購入するフローと同じであり、後者はいわゆる投げ銭と呼ばれる行為と同じです。


どちらにしても自分がいいと思ったものや人にお金を払う仕組みがあるのはたいへんすばらしいし、これこそが「note」一番の魅力です。

[よかった点] 機能は豊富だけど画面はシンプル


「note」にはダッシュボードと呼ばれる自分が公開した情報へのアクセス履歴や売り上げ、さらにライブラリと呼ばれる自身が購入したノートの一覧などを見る機能があります。



とても機能が豊富なうえに、どの画面もシンプルで見やすいです。
# 売買もしておらず、発信もしていない私が言うのもなんですがw


[まだ期待値には達していない点] 自分が興味のあるクリエイターが少ない


いまのところ、参加しているのは主に発信する側ではなくわたしと同じ受け手側の人が多い印象があります。
これを言い訳するわけではないのですが、正直お金を払いたくなるほどのものはいまのところほとんどありません。結城先生のテキストを書くコツのエントリーにはお金を払おうかなと思ったりもするのですが、それ以外だとまったくその気になりません。

わたしが「cakes」を読み始めようと思ったのは「この人の書くんだったらお金を払って読みたい」と思える人がいたからですが、いまのところ「note」にはそういった人はほとんどいません。

実際に他のユーザーの様子を見ても、そんなにお金のやり取りが活発に行われているイメージはありません。


せめて「cakes」並みに興味のある人たちが精力的に発信をしてくれたらいいのになあと思っています。
「cakes」で書いてた人が挙げてるテキストはほとんど「cakes」で書いてたものばかりですしねー。これからに期待してます。

[まだ期待値には達していない点] SNSとしてはまだまだ使いにくさが目立つ


twitterfacebookと比べると、SNSとしては機能不足が目立ちます。似ていると言われるTumblerと比べてもそうです。
もちろん機能がないことも特徴ですから決してよくないことというわけではないのですが、多くの人がまだ用途についてあれこれ模索しているこの状況だと使い慣れたSNSと同じように使おうとしてしまいがちですし、そのときに機能不足があるとちょっとストレスを感じます。


おもしろいと思った記事を他の人に紹介しようとすると、リンクをトークで公開するのが一番簡単なのでしょうか?
シェアやRTみたいな機能があればいいなと思うことがよくあります。


まとめ

と、好き勝手にあれこれ書いちゃいました。

6日経ったいまはどうなの?というところですが、最初の3日は楽しくてあれこれ見ていましたがいまは物足りなさもあってやや静観している最中です。上でも書いたとおりわたしは自分が興味のある人やおもしろいモノを発信できる人にお金を払いたくてnoteを利用していますが、いまはごく一部の人たちが内輪ノリでもりあがっているだけのようにしか見えなくてちょっと距離をおいて様子見という感じです。

なんていうか普通の人の書いた普通な文章や写真だったらtwitterfacebookでも見れるし、わたしが「note」に求めているのはそういうものじゃなくて、もうちょっと特別な付加価値のある何かなんですよね。そこにお金を払いたいんです。


SNSって本人が楽しもうとしなければ楽しくならないので本来はもっと自発的に盛り上げる要素を作って発信しなければいけないのですが、「note」はそこがちょっとむずかしいというか、それをやってしまったら「note」は普通のSNSと同じになってしまうのでそうはしたくないんです。


自分が受け手であるということを意識し過ぎているようなきらいもありますが、「note」はそういう場だと割り切ってしばらくは受動的にサービスを楽しむ努力をしようと思います。


おまけ


最後にこういう機能があったらうれしいなというものをまとめておきます。

  • ユーザーの検索機能
  • おすすめユーザーの精度向上(いまは似たような人ばかり出てくる)
  • 人気のあるテキスト、写真、動画等々が分かる機能(スキがいっぱい付いたか、売れた)
  • フィルター機能(テキストのみとか、トークは表示しないとかできるフィルター)
  • より少額な決済ができる機能


(関連リンク)

*1:と言いつつ、じつは読みたいコンテンツがかなり減ってしまったので最近は課金していなかったりします...