「ドラえもん のび太のひみつ道具博物館」見たよ


ある日、昼寝をしていたドラえもんは、謎の男・怪盗DXに鈴を盗まれてしまう。「シャーロック・ホームズセット」で探したところ、未来にある「ひみつ道具博物館」に手がかりが…。 鈴を取り戻すために、のび太たちは未来へ向かう! そこはすべてのひみつ道具が展示してある夢のような博物館。見習い道具職人でガイドのクルトに博物館を案内してもらっていたのび太たちだったが、ひみつ道具博物館でも怪盗DXによってひみつ道具が次々となくなる事件が。果たしてドラえもんの鈴は無事に取り戻せるのか!? 怪盗DXの正体とは? ひみつ道具の謎がついに明かされる――。

『映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮で観てきました。

盗まれてしまったドラえもんの鈴を取り戻そうというお話でしたがとてもおもしろかったです。
あらすじを読んだり予告を観た印象だと博物館内で収束するこじんまりとした内容を想像していましたが、たしかに物理的な移動はほとんどなく局地的に展開していることや登場人物は少なかったのですが、決してそれがこじんまりと表現されるようなものとしては感じられず、むしろきっちりとまとめきっているという印象を受けました。


じつはここ数年、劇場版のドラえもんはあまりおもしろくないと感じることが多くて、大長編のリメイク以外、つまりオリジナルシナリオによる作品は壊滅的におもしろくないものばかりでした。正直リメイク以外は観るのは止めようか思っていたほどだったのです。さらにおもしろくないと感じているのがわたしだけであれば感性が合わなくなっているだろうということで納得できたのですが、いつも一緒に観に行く子どもたちの反応も年々好意的なものではなくなってきていて、別に観なくてもいいかなという気になっていたのです*1

そんなわけで今年もあまりおもしろくなかたったら来年は公開直後に観に行くのは止めて評判待ちをすることにしようかと思っていたのですが、今回いきなりグッとおもしろくなってしまいましてびっくりしちゃいました。


ではいったい何がよかったのかと考えてみると、単純に夢のあるアイテムや見るだけで胸おどるかっこいいものがたくさん出てきたのがよかったんじゃないかなと。

たとえば今作で舞台となったのは秘密道具の初期型から最新型までを集めた博物館でして、つまりたくさんの秘密道具がある場所で、たくさんの秘密道具を使うことで物語が進んでいくのです。どこでもドアやガリバートンネルといったレギュラー陣は当然出ており、くわえてコピーロボットといったありそうでなかったおもしろ秘密道具があらたに出てきたり、さらに改良版(というか改造に失敗してしまった)のビッグライトやきこりの泉、そして偶然出来たというかわいいロボット(ポポン)など未知の道具が大量に出てきて物語の進行に大きな影響を与えるのです。


賛否があるかも知れませんが、やはりドラえもんは秘密道具があってこそおもしろくなると思いますし、その点本作はたくさんの道具が出てきて興奮しっぱなしの2時間でした。このくらいたくさん出てくれたらもういうことないです。超まんぞくした!


さらに作品の中には過去の作品から有名なシーンを引っ張り出して、それをおもしろおかしくネタとして活用してくれます。
たとえば本作にも出てきている「きこりの泉」という秘密道具を題材にした有名な回があるのですが、その回で出てきた「きれいなジャイアン」が本作でも出てきます。しかも「きれいなスネ夫」まで出てきてそれがまたおかしいんですよね*2

あとはドラえもんが初めてのび太に会いに来た日の話とか、こまかく過去の懐かしいネタをぶち込んできたのでむかしのドラえもんを知っている人にはたまらないシーンが盛りだくさんでした。


ただ、じゃあ本作がすごく出来のいい作品なのかというと決してそんなことはなくて、作品のあちこちに整合性がとれなかったり都合のよいように組み立てられているところがありました。ネタバレになるのでくわしくは書けませんが、ふだんは映画を観ていてもそういった矛盾に気づいたり合理的ではないことが気になることがないわたしが気付くくらいなので、わりと程度は

だけどそういった不作法なんて気にならないくらい文句なしにおもしろかったんですよね。


整合性が取れている、つまり物語のつじつまがあってるというのは「おもしろい作品が備えるべき要素」の大前提だと思っていたのですが、そういうところとは無関係におもしろい映画はおもしろいんだなということをあらためて思い知らされました。そう思うと、昨年までの劇場版はそういった正しさとか一貫性といった部分にばかりこだわり過ぎたために観ている人に楽しんでもらおうというサービス精神が欠けていたんじゃないかという気がしてきました。


わたしは劇場版のドラえもんといえば旧劇場版の大長編のような冒険活劇を期待してしまうのですが、本作はその期待とはまったく別の新しい方向性を提示していてくれた作品ではないかと思います。そういう意味では8年前に公開された「のび太の恐竜2006」で始まった新しい劇場版から数えて8作目にして、やっと旧劇場版の資産に頼らずに済む方向性を見つけたのかなと思いました((なんて、鉄人兵団以降は旧劇場版も観なくなってしまったのでその間の20年くらいを知らないのですが(笑)))。


本当におもしろかったのでもう一回観に行きたいです。



そういえば、この子はすごくかわいいしおもしろそうなキャラクターでしたが、何だかんだでまったく活躍しなくてとても残念でした。


公式サイトはこちら

*1:ちなみにクレヨンしんちゃんは毎年コンスタントに楽しませてもらっていて(去年はいまいちでしたが)、テレビはともかく劇場版についてはドラえもんとはずいぶんと差があるような気がしています

*2:ただし今作ではきこりの泉に由来して出てきたわけではなく、イケメンのコピーを作るコピーロボとして出てきます