「転落」読んだよ

転落 (講談社文庫)

ホームレスになってしまった「ボク」は、食料を探していた神社で、小学生の麻由から弁当を手渡される。巧妙な「餌付け」の結果生まれた共犯関係は、運命を加速度的に転落へと向かわせる。見せ掛けの善意に隠された嫉妬・嘲笑・打算が醜くこぼれ落ちるとき、人は自分を守れるのか!?驚愕の心理サスペンス。

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これはまいったなあ...。
以前、「夏の子どもたち」を読んだ時にも書いたけど、映画や本で過剰にリアルな状況を表現されると時にその物語を受け入れることを拒みたくなります。本書もその例に漏れず、まさに不快感の塊のような物語でした。リアリティを突き詰めた結果はこうなるんだということがよく分かる作品でした。次が気になって読む手がとめられなくなる展開や、情景が目の前に浮かんでくるような描写のうまさはすごいなーと感心させられましたが、そこまでがっちりと読み手の心を引きずり込んでおいてこの結末を突きつける残酷さには何とも言えない怖さを感じてしまいます。

謎をばらまいておいて、徐々に回収する構成は好き嫌いが分かれそうですが、わたしは結構好きみたいです。物語そのものは好きになれないけど、構成はよかったです。

実は、この本の中でいまだに一点だけ分からないところがあります。それについてネットの感想を読み漁ってみたのですが全然それについて書いている人が見つからず、いまだに未解決です。もしこの本を読んだことがある人がいたら、ぜひこの本についていろいろと話し合いたいです。分からないモヤモヤした部分を解消したいなあ。

[参考]
「夏のこどもたち」読んだよ