- 作者: 矢口敦子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2002/06
- メディア: 文庫
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同著者による「償い」「証し」がとても面白かったのでそれ以前の作品も読んでみようと思い立ち、手にとってみました。前に読んだ2作品に比べて、結末力の高さは圧倒的にこの作品が上で非常によかったです。
導入部のつかみのうまさは期待どおりですし、結末が気になってくる中盤以降の展開の巧さには惹きつけられっぱなしでした。そして他の2作品で残念な印象を残した結末部分も、意外性と予想どおりの割合がとても絶妙で読後感は非常によかったです。家族というコミュニティの在り方について考えながら読みました。
家族って何なんだろうなと考えることがよくあります。
血がつながっている人同士の生活共同体というのが一番しっくり来るのですが、血がつながっていなくても家族という場合もあるわけです。家族の定義って何だろう?と考えたのですがうまくまとまらなかったのでWikipediaを見てみました。
家族(かぞく)とは居住を共にすることによってひとつのまとまりを形成した親族集団のことである。また、「産み、産まれる」かかわりの中から生じた親と子という絆、そうしたものによって繫がっている血縁集団を基礎とした小規模な共同体が、家族である。同じ家屋に居住する血縁集団に限定して使う場合もあり、現代日本では直系親族を中心とする単家族のことを指す場合もある。英語では"family"と表記する。
家族 - Wikipedia
単に血縁者で集まったもの同士を家族と呼ぶだけだとすれば、信仰心で集まる宗教団体や同じ趣味だという理由で集まっているサークルと同列じゃないかと思うわけですが、そこには決定的に違う何かがあるわけです。それらが絶対に違うというのは私自身の感覚でよく分かっているけれど、でも何が違うのかがよく分からない。
例えば家族だから利害を共有しなくとも共同体として成立出来るんじゃないかと思う一方で、この本のように家族の体をなしていないような血縁者集団もあるわけです。そういった自分の考える家族像には当てはまらない家族を見るにつけ、家族だけが特別な共同体って言ってしまう自分は間違っているのかも知れないと自信を失うのです。
家族ってなんだろうな...。