善き人のためのソナタ

1984年、東西冷戦下の東ベルリン。国家保安省(シュタージ)局員のヴィースラーは、劇作家のドライマンと舞台女優である恋人のクリスタが反体制的であるという証拠をつかむよう命じられる。成功すれば出世が待っていた。しかし予期していなかったのは、彼らの世界に近づくことで監視する側である自分自身が変えられてしまうということだった。国家を信じ忠実に仕えてきたヴィースラーだったが、盗聴器を通して知る、自由、愛、音楽、文学に影響を受け、いつの間にか今まで知ることのなかった新しい人生に目覚めていく。ふたりの男女を通じて、あの壁の向こう側へと世界が開かれていくのだった…。

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宇都宮テアトルにて。
お互いがお互いを監視しあって足を引っ張り合うことで、誰も抜け駆けしないように囲い込んでいる社会。社会皆が同じ思想を強要され、他と異なる思想を持つことすら禁止されるという世の中は見ているだけで息苦しくなってきます。


そんな共産主義の思想に洗脳されているヴィースラーが今作の主人公。彼が反体制の疑いをかけたドライマンとクリスタを監視、盗聴するのですが、その盗聴をとおして逆に彼らの思想に魅了されていくヴィースラーの姿がとても好きで好きでたまりません。
そもそも。自分の感性だけが頼りの子どもと違い、大人になると今までの考えや思想に固執してしまいがちです。でもヴィースラーは自分の中に強く根付いた共産主義よりもドライマンたちの住む世界に感化され、変わっていく様は見ていてとてもすっきりとした気持ちにさせてくれます。


それにしても、こういう映画を見るたびになぜ学生時代に歴史をもっと真剣に勉強しなかったんだろう...と後悔します。この作品だって、ドイツの分裂・統一をちゃんと理解していればもっと楽しめたのではないかと思うんですよね。これから少しずつ本やネットで勉強しようっと。


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