打算で選んだ親の責任という名の免罪符

もともとすごく気になっていたニュースではあるのですが、ブックマークでidコールをいただいていたのでその返信がてら、ひとつエントリーを起こします。


その対象のニュースというのはみのもんた氏が息子が起こした不祥事の責任を取って報道番組を辞めるという件です。

TBS系「みのもんたの朝ズバッ!」「みのもんたのサタデーずばッと」の2番組の司会を降板するタレントのみのもんたさん(69)が26日、都内で会見を開き、降板理由について「(次男が窃盗容疑などで逮捕され)道義的に父親としての責任を非常に感じており、報道番組から降りるという、自分にとって一番つらい道を選ぼうと思った」と説明した。報道以外の番組は続投することも明らかにした。

http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/131026/ent13102623310021-n1.htm


事態を知らない人はほとんどいないと思いますが念のためまとめると「氏の次男が窃盗容疑」→「活動を自粛」→「報道番組をすべて降板」という流れです。
30歳を超えたいい大人が犯罪を犯したときにその親まで責められるいわれがあるのかどうかといえば個人的にはないと思っています。だから今回のような事態は正直理解に苦しむなというのが率直なところでしたし、この「道義的に父親としての責任を非常に感じており...」という氏の発言にはまったく同意できませんでした。


そしてそれと同じくらい疑問だったのがこちらの発言でした。

約200人の報道陣が詰めかけた会見で、みのさんは「辞めなければ収まらない風潮も感じた。みのもんたのせがれじゃなかったらというのが正直な気持ち」と悔しそうに語った。

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20131026-OYT1T00774.htm


ここで「辞めなければ収まらない風潮も感じた」とありますが、自分の観測している範囲では今回の件でみのもんたを責める意見はあまり見かけたことがなかったので非常に違和感をおぼえました。そんな風潮、どこにあったの?というのが正直な感想でした。


そして個人的には成人した息子の過ちの責任をとるよりも、自身が起こしたセクハラの責任をとれよとずっと思っていました。
ところが口を開けば息子の起こした事件のことばかりだし、マスコミもセクハラのことはさほどツッコまずに愚息の愚行のことばかり。正直この展開にうんざりしていましたが、今回の会見でこの件についてツッコみが入ったシーンを見てさらに暗澹たる気持ちになりました。

8月30日放送の「朝ズバ」内で、隣に立っていた吉田明世アナウンサー(25)の腰付近に手を伸ばした映像が放送され、「セクハラ行為では」と騒動になった問題についてみのもんたは、「あのお嬢さんはよくとちるお嬢さんで、とちるたびに背中や肩を叩いたりして、だんだんととちらなくなった。あの件の時も、とちった時に腰を叩いたつもり。セクハラのつもりはない」と強調。「映像が女性の体をまさぐるような表現になっていて残念」と話した。

みのもんた セクハラ疑惑を語る「とちった時に腰を叩いたつもり」― スポニチ Sponichi Annex 芸能


自身のセクハラについて質問されたとき、あの人笑って答えてたんですよね...。

いや当然あれは意図的なんでしょうし、つまり「あんなのは大したことじゃない」「相手の勘違いなんだ」っていう演出なんだと思います。でもなんかもう本当に腹が立ったしひさびさにさっさと昇天して欲しい*1なと思ったわけです。そして「この人は息子の罪をかぶって真摯に反省する姿勢を世間に見せたかっただけなんだな」「この贖罪によって自身の犯したセクハラはなかったことにしようということなんだな」ということが嫌というほどわかりました。


そんなわけで、ここまでの内容を3行でまとめるとこんな感じになります。

    • みのもんたの言う「世間の風潮」が実在するという実感がない
    • みのもんたが本気で贖罪しようとしているようには思えない
    • セクハラに対する罪悪感がなさ過ぎる


このような背景もありまして別のニュースのブックマークにこんなコメントを付けました。


(記事)

潔い決断と言いたいが、TBSの「朝ズバッ!」の出演自粛から1カ月半もたっている。マスコミを遠ざけ考え抜いた末、というより世論の風向きを見極めていたのか。人は熱しやすく冷めやすい、とタカをくくっていたかもしれないが、逆風はいつまでも収まらず、TBSも支えきれなくなったようだ。

http://sankei.jp.msn.com/entertainments/news/131028/ent13102808530003-n1.htm

(ブックマーク)

聞いてて不思議だったのは別にそんな風潮ないよね?ということ。そんな空気があるとすればメディアの中だけだったような気がするんだけど。

はてなブックマーク - itottoのブックマーク / 2013年10月28日


このコメントに対してid:kako817v002さんからこんなリプライをいただきました。

そんなメディアに踊らされて「クビを切って責任を取れ」って声高に叫ぶ人が、世の中の大半を占めていることもまた事実なんですよ。

はてなブックマーク - kako817v002のブックマーク / 2013年10月28日


これが昨今増えているネット炎上に対する一般論であれば同意しますが、今回の件に関して言えばわたしの実感とはちょっと違うかなと。
つまりこの「メディアに踊らされて「クビを切って責任を取れ」って声高に叫ぶ人が、世の中の大半を占めている」という部分について、今回はそういう世間の空気というものがまったく感じられなかったと思っているのです。

もし辞めろという風潮があったというのであれば、それはテレビやメディアの中だけであっていわゆる世間の空気ではなかったんじゃないかというのがわたしの意見です。もちろんわたしの観測範囲が狭いだけということもあるかも知れません。


ただ、わたしから見れば、「セクハラを認めてその責任を取る」ことよりも「息子の愚行の責任を取って親としての責任を果たす」ことで世間体が悪くない方を打算的に選んだとしか思えず、なんだか最後までこの人にはむかついてしまったのでした。

*1:かなりオブラートに包んだ表現にとどめています