「桜田門外ノ変」見たよ


水戸藩士・関鉄之介(大沢たかお)は、妻ふさ(長谷川京子)と息子の誠一郎(加藤清史郎)に別れを告げ、徳川幕府大老井伊直弼伊武雅刀)を討つために故郷を出た。総勢18名が実行部隊として集結し、鉄之助はその指揮を命じられる。襲撃当日、短銃の発射音を合図に斬り合いが始まった。多くの仲間の死をもって、ついに井伊の首を取ることに成功したが、大老襲撃と同時に挙兵するはずの薩摩藩内では挙兵慎重論が持ち上がり、計画は瓦解。幕府はもちろん、かつての同胞・水戸藩士からも追われる立場となった鉄之助は、「桜田門外ノ変」に至る歳月を思い返していく――。

『桜田門外ノ変』作品情報 | cinemacafe.net

宇都宮ヒカリ座にて。
歴史的大事件である「桜田門外の変」はなぜ起こったのか。また、この事件を起こした人たちやその人たちに関わる人たちはその後どうなってしまったのかということについてとてもよくまとめられた作品でした。歴史が苦手なわたしでも理解できるくらい要所要所に時代背景等に関する説明が織り込まれていて、理解が及ばずに置いてけぼりになるようなことがなかったのはとてもよかったです。
そして、長年鎖国を続けていた日本が外圧によって開国を迫られて国が大きく揺れ動くというシチュエーションは、領土問題に端を発したさまざまな出来事によって揺れている現代とどこかしら被るものを感じます。国を存続させるためだととりあえず開国をさせようとする人と死んでも開国させてはならないと抵抗する人たちそれぞれの気持ちは、どちらもそこそこ理解できるような気がするのですが、でも国の中で争ってる場合じゃないといいながらもこうやって不毛な争いをしてしまう愚かさはこの頃から変わってないんですね。
国の未来を憂いているという人たちも、その思いから出た行動がはたして本当に国のためになっているのかと問われるとそれはその時代だけでは分からなくて、歴史として処理される未来になって初めてその意味、価値が見えてくるんですよね。
そういった意味で、今という時代ははたしてどういう時代だったと言われるのか、見えるのかということを1000年先に行ってみてみたいと感じたのでした。


とまあ、いろいろと思いを馳せたくなる面白い作品だったのですが、これが面白かったのは前半だけでして、後半はちょっと面白くなかったかな。ストーリー自体のクライマックスを前半に持ってきた時点で避けようがないのですが、(1)後半はほぼ消化試合であったことと、(2)後半、微妙に笑いを取ろうとしていた ところがよくなかったなと。
例えば、敵に見つかって侍が切腹しようとしたお腹に刀を差したまさにその瞬間に「お店が汚れるので勘弁してくれ」と言い出す店主*1と、その無茶ぶりとも言える要求にこたえようとお腹に刀を差したまましばらく逃げて近所の大きな家の部屋を借りて切腹したり(←そこまでずっと切腹した状態のまま逃亡)と何だかおかしな雰囲気に。


っていうか大沢たかお、最初から最後までおかしかったんだよね...。
子ども想いのいい父親なのかと思ったら妻だと思ってた長谷川京子は内縁の妻だったり*2、しかも中村ゆりを愛人として囲ってたり、さらには中村ゆりとのラブシーンでは自らはまったく動かず100%マグロで通すという徹底ぶり。
もちろんこれはあくまで役の上での所業なので彼が悪いわけじゃないとは思うんですが、何となくイライラしちゃったんですよね。そんなわあけで「ICHI」を観たときに「大沢たかおは時代劇がいいんじゃないか」とか言っちゃったけど、あれもう撤回します。


とまあ、後半は比較的微妙でしたが、前半はとてもよくまとまった時代劇でした。
この映画のおかげで、「桜田門外の変」のことはちゃんと覚えられたと思います。歴史嫌いだった中学時代のわたしに見せてあげたい。


公式サイトはこちら

*1:偶然そこはお店の前だったんですね

*2:本人はそれが奏功して命が助かったと言ってるが明らかに自分に都合のいい解釈。最低。