「ドミノ」読んだよ

ドミノ (角川文庫)

ドミノ (角川文庫)

些細な事件が大騒動に発展していく、パニックコメディの大傑作!

一億の契約書を待つ生保会社のオフィス。下剤を盛られた子役の麻里花。推理力を競い合う大学生。別れを画策する青年実業家。昼下がりの東京駅、見知らぬ者同士がすれ違うその一瞬、運命のドミノが倒れてゆく!

Oh,My God!! 怪しい奴らがもつれあって、東京駅は大パニック!

http://www.amazon.co.jp/dp/4043710011

出てくる登場人物が27人と1匹と非常に大所帯な上に、なんとこの全員が主役扱いというすごい設定の作品でした。
ひとりひとりのエピソードが絡み合っていって互いの進む道を次々と書き換えていく様子は、まさにドミノ倒しのようなスピード感にあふれていて非常に楽しいものでした。最初はまったく無関係に点在していた個々のエピソードが、ラストに向かってひとつに集約されていくさまはとてもおもしろいし、何よりその構成の巧さを味わうだけでもとても楽しめるのです。
ただし、登場人物ひとりひとりを掘り下げていくわけではないので、全体的に散漫というか人物描写が薄く引き延ばされている印象はどうしてもぬぐいきれませんが、でもこの作品を「構成の妙を楽しむ作品」だと受け止めれば、この不満点は魅力を引き出すためにトレードオフすべき点であり、これはこれでしょうがないのかも知れません。


少なくとも、これだけ多くの登場人物を破綻することなくまとめきってひとつの作品におさめることに成功している時点で多くの人にたたえられるべきすばらしい作品だと感じられました。