経済ってそういうことだったのか会議

あの竹中平蔵と、あの佐藤雅彦がこの地球の経済をやさしくするどく解き明かす、新・経済の入門書。

http://www.amazon.jp/dp/4532191424

資産運用にもあまり興味がなく、お金の管理と言えば貯金しておくことくらいしか頭にありませんでしたが、テレビをつければサブプライムローンがどうしたとか株安だとかそんな話が飛び交っていて、いったい何のことだろうといつも気にはなっていました。
ネットでも世界経済についての話題というのはたまに目に入ってきて、みんながその話題でわいわい騒いでいるのを見るにつけ、強烈なおいてけぼり感を感じました。その状況があまりにストレスフルに感じられたわたしは、一度経済について勉強しようと思い立ち、まずはお手軽でおもしろいと評判のこの本を手にしました。


本書は経済のプロである竹中さんと、ピタゴラスイッチの監修で有名な佐藤さんの対談という形式で話は進みます。
経済については素人である佐藤さんが竹中さんに疑問を投げかけて答えてもらうというのがおおよその流れなのですが、これがすごくわかりやすくてよかったです。経済学とはいったい何なのか?という最も基本的な部分から始まり、ダウ平均や日経平均といった日常的に耳にしつつもなかなかその意味を知ることがなかった単語についての説明がわかりやすく記述されているのは経済オンチとしてはとてもうれしい構成でした。
加えて展開されるのは理論だけに留まらず、さまざまな事例を引き合いにしてどのように世界が変貌を遂げてきたのかということが具体的に説明されていた点はとても興味深く読みました。あとは経済学の立ち位置みたいな話もよかったな。


わたしが一番感銘を受けたのはExit Strategyという概念です。
わたしの拙い経験からも引き際を見極めるというのは非常にむずかしいというのはわかりますし、だからこそ戦略的に進めようという発想がものすごく大事だと感じるのです。
採算部門が一転して不採算となったときにきっぱりと止めるのは非常に勇気の必要なことですし、つまりは止め時を見極める能力と決断力というのはとても大事で多くの人にはないスキルなのだと思うわけです。一時的な成功に縛られないというのは、言うは易し行うは難しでして、やはり過去の栄光にすがってしまう気持は理解出来るんですよね。それでも進退の覚悟を決めずにズルズルと行くのは見苦しいし、何より誰も幸せにならないことを考えればどうすべきかは明白なんですよね。
改めてまとめてみると当たり前のことのように感じますがなかなか出来ないことですし、それ故にしっかりと戦略を立てて取り組まないといけないことなのだと理解しました。


この本で得た知識を足掛かりにして経済と戯れてみたいと感じたし、わからないことが出てきたらまた読み返そうと思える本でした。出会えてよかったと思える一冊です。