社長の値打ち

社長の値打ち  「難しい時代」にどうあるべきか (光文社新書)

社長の値打ち 「難しい時代」にどうあるべきか (光文社新書)

この国には約255万社の法人があるそうでして(ソース)、そうだとすると、それと同じ数だけの社長がいるはずなので日本には255万人の社長がいることになります。
さらにH17年現在の日本の成人人口は1億800万人ですから、255万人/1億800万人 ==> 成人の約100人に2人が社長だという計算になります。


社長ってこんなにいるのね。びっくりです。


本書は、そんなたくさんの社長さんたちの中でもとりわけ名の知れた人たちの社長業への取り組みを「創業者である社長」と「サラリーマン社長」、または「世襲社長」という大きく3つの分類に分けて紹介しています。
非常に面白かったのは京セラの稲盛さんに創業社長とサラリーマン社長の違い、そして自身の経営哲学について聞いたときの話。

サラリーマン社長と創業社長を比較すると決定的に違う点がいくつかあると思います。まず創業社長は非常に小さい規模から会社を始めるわけですから、何から何まで全部自分でやらなければならない。製造はどうあるべきか、営業はどうあるべきか、人事は、組織は、会計はと、いろいろと考えないといけません。八百屋の主人が仕入れから販売まで何もかも一人でやるのと同じですね。だから創業社長は会社全般の機能について精通せざるを得ません。
一方、サラリーマン社長の多くは入社してから人事畑一筋とか、営業畑出身や技術畑出身と表現されるように専門家された道を歩んできます。会社の経営全般について知る機会がなかったということが多いと思います。トップになって初めて会社全体を知る機会に遭遇して、そこから必死で勉強される方もいらっしゃるでしょう。けれども大半は自分の専門分野以外は知らないけれども、それは経理担当重役もあれば営業担当重役もあるからその人たちに見てもらえばいいと思って勉強されない。そうすると、会社というものは全体がバランスよく展開しなければならないのに、その全体がわかっていない人がトップの座についてしまうという不幸なことになってしまいます。

第三章 社長の哲学(100ページ)

会社を大きくする過程というのは子育てと通ずるものがあると思います。そう考えると、創業したばかりの会社は正に生まれたばかりの赤子であり、創業社長はその親です。そして大きな会社に育て上げるということは子どもを大人に育て上げるということであり、その成長は創業者にとって最も嬉しい事なんだろうなと思います。俺だったら嬉しい。
ではサラリーマン社長にとっての会社とは何に例えられるかと考えてみると、これに近しいのが思いつきません。うーん。養子とも違うしなあ。


このような社長の持つ視点や哲学は各々さまざまですが、それぞれに優劣があるわけではなく、会社の状況によって適切な社長のタイプは違うというのは非常に面白いと感じました。被雇用者には当然さまざまなタイプがいるのですが、社長も同様にいろんなタイプがいるんだな、というのは当たり前のようで、でも普段経営者と接する事が少ない私にとっては新鮮なことでした。


無能が上に立つと悲惨だというのは常日頃感じているので、自分では社長になろうなんてのは夢にも思いませんが、創業社長ってのは憧れちゃいます。