自虐の詩


子どものころから不運続きの幸江(中谷美紀)は、乱暴者で酒飲み、仕事もせずギャンブルに明け暮れるダメ亭主イサオ阿部寛)に健気に尽くしていた。見かねた隣人に別離を勧められ、パート先の店主にしつこく言い寄られようとも、イサオと一緒にいることが何よりも幸せ。そんなある日、刑務所帰りの父親が幸江の前に現れる。

自虐の詩 (2007) - シネマトゥデイ

MOVIX宇都宮にて。
幸せになりたいと願い続ける一人の女性の物語。怒るとちゃぶ台をひっくり返す阿部寛を楽しむだけの作品かと思っていましたが、幸せってなんだろうな、なんて考えさせられる作品でした。幸せになりたいと願い続けた幸江が気付いた自分の手の中にある幸せがとても暖かく感じられてよかったです。


小さい頃から不幸続きの幸江が、「いつか幸せになりたい」と願う一方で、なぜこんなにもダメ男なイサオ固執するのかさっぱり分からず、不幸な環境に居る自分が好きな変な女だと決め付けていました。そういう思い込みがあったおかげで、幸江がイサオから離れられない理由を知った時はかなり強力な衝撃を受けました。中学校を出て間もない田舎の女の子が、都会で生きるために辿る道なんてのは案外こんなもんかも知れないという偏見にも似た納得と、今の幸江とイサオとは別の顔があったのだという事実に強烈に打ちのめされました。こんなちゃんとしたバックストーリーがあるとは全く予想していませんでした。
もう見終わったときには「そりゃイサオしか見えなくなるよね〜」と思わず隣の女の子に話しかけたくなるくらい誰かに言いたい衝動に駆られたのですが、見終ったときに誰かと共有したくなる話ってすごくいいなと思います。


包帯クラブに引き続き、堤監督の作品にやられました。とても面白かったです。


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