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秋田に帰省中に映画を見てきました。場所はここです。
ここに映画を見に来たのは、私が小学生の頃に「魔女の宅急便」を友達と見に行って以来なので18年ぶり。2〜4Fまでが会場だったはずですが、今回行ってみたら4Fだけが上映に使用されているようでした(帰りに階段で降りていったらひどく荒廃してて驚かされました)。向かいにあった映画館は閉鎖しているし、何だか寂しい気持ちにさせられました。勝手な言い分ですが、あの雰囲気はとても大好きなのでいつまでも残ってて欲しいです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B8%E7%A6%8F%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%83%83%E3%83%81より抜粋
「イナデン」は地域の人達に親しまれている、『お客第一・儲けは二の次』がポリシーの小さな電器屋。三姉妹の真ん中・怜(上野樹里)は、母が亡くなるまでもそれから後も、家族よりお客からの修理依頼などのアフターサービスに尽くす父・誠一郎(沢田研二)の姿がどうしても我慢できず、反発して上京した駆け出しのイラストレーター。だが肝心の仕事でも上司と衝突し、とうとう会社を辞めてしまう。そんなある日、怜のもとに現在妊娠中の長女・瞳(本上まなみ)が倒れて入院したとの手紙が、三女の香(中村静香) から届く。あわてて和歌山に帰郷した怜だが、入院していたのは父の誠一郎だった。父は客の依頼で行なったアンテナの設置中に、屋根から落ちて骨折したのだった。そんな状態でも、お客と電話で話す父の姿にあきれる怜。父が退院するまでの1か月間の約束で、しぶしぶ店の手伝いをする怜だが、すっかり常連客の溜まり場となっている店の騒がしい日常や、配達・修理作業を手伝いにきている中学時代のクラスメイト・鈴木(林剛史) のお調子ぶりなどにうんざりする。さらに最悪なことに、父の過去の浮気疑惑まで再燃して、怜のイライラはピークに達する。だが、慣れない家業を地道に手伝っていく中で、あちこちに住む個性的なお客さんたちの依頼を受けたり、そこで父の仕事ぶりの評判を聞いたりするうちに、それまで意固地でかたくなだった怜の心も、少しずつほぐれていくのだった。
田舎にある電気店を見て「こんな状態でお店がやっていけるの?」と思う人も多いと思います。私は道端や町外れにぽつんとある電気店や床屋がどうやって生計を立てているのか日ごろから気になっていました。その疑問が解決するかも!!と思って読んだ「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」もそこまでは疑問を氷解させてはくれませんでした(ヒントにはなりそうでしたが具体的な方法論までは思い至りませんでした)。が、この作品を見て納得できました。
企業として成長するのではなく地域の生活の一部となってその中で生きていくという選択肢もあるのだということが、とにかく新鮮な考えのように感じられ、逆にいかに自分の体・頭の中に効率主義がしみこんでいるのかということも痛感させられました。*1
これから自分自身がどういった仕事をしてどこで生きていこうと考えた時に出てくる選択肢を、より幅広いものにしてくれたと感じています。
また、怜(上野樹里)が父・誠一郎(沢田研二)を許せなかったのは、お客ばかりを見ていて家族に優しくなかったからだけでも、母親が苦労したからだけでもなく、もっと父親には苦労せずに生きて欲しいと願う気持ちの裏返しのようなものだったのだと思います。もっと効率的にやれば楽に生きられるのにそうしないことへの苛立ち。結局は多くは語らないながらも一生懸命お客のためと働く父親の姿から、お客の意見を尊重するようになっていく怜の成長が見ていてとても微ましいし、嬉しいと感じました。そう感じるのもきっと自分もこうやって子供に何かを伝えられるようになりたいと想う気持ちがあるからなのだと思います。勝手な想いではあるのですが、いつも口や手ばかりで子の模範となるような行動をとっていない自分も少しは背中で子に思いを伝えられるようになろうと密かに決意をしました。*2
のんびりとした気質で優しい長女と負けん気・我が強い次女。そしてそんな上を見て育った世渡り上手の三女という典型的な3姉妹と父親の物語としてだけ見ても十分満足に値しますが、それ以外にも見所がとても多い作品でした。
父親としての視点、働く人間としての視点、兄弟がいる人の視点、地方に住む地域社会の一員としての視点。いろいろな視点で見る事が出来る素晴らしい作品でした。特に働くことに悩んでいる人にはぜひ見て欲しい作品です。