- 作者: 飛鳥井千砂
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2010/10/06
- メディア: 文庫
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センセイって、もっと特別な人がやるものだと思ってたんだ。とくにやりたいことがなく、気がつけば先生になっていた。生徒は可愛げがないし、同僚とのつきあいも面倒だ。それでも、“センセイの日々”は続いて行く…。第18回小説すばる新人賞受賞作家が描く、“フツーの教師”の青春物語。
http://www.amazon.co.jp/dp/4591097676
もう10年以上前になるんだけれど、大学4年生の時に教育実習生として高校で教壇に立つ機会がありました。
元々教員になろうという気はあまりなくて、研究職につけなかった時の保険にしたいという程度の気持ちと、高校生(主に女子)に囲まれて毎日を過ごしてみたいというよこしまな気持ちから実習に臨んだというたいへんダメな実習生でした。
そんないい加減な気持ちで実習に臨んでみてわかったのは、先生の日常というのはなんとめんどくさいことばかりなんだということでした。
授業の準備して教えていればいいのかと思いきや、それ以外にも行事の準備やテスト作りや持ち回りの仕事などがてんこ盛りで超大変。部活なんてやってたらさらに大変なんです。わたしが見た部分なんて一部なんでしょうが、それでもかなりのボリュームでして見ているだけで気が滅入ってしまいました。
あ、そういえば私みたいなやる気のない実習生の受け入れもたいへんなお仕事ですよね...。
そう思うと本当に申し訳ない。
さらに高校生って先生にいろんなことを聞きにきたり、お願いしにきたりするんですよ。私が高校生の時もそうだったかなーと思い出そうとしたのですが、全然思い出せないんですが、きっと私も先生にあれこれ聞いてたんだろうと思います。
授業のことや部活の事、担任をもっている先生なんかは進路相談や人生相談もされちゃうんですね。
最初は私も「高校生と話すのは楽しそうだなー」なんて気軽に思っていたのですが、でもたとえかわいい子であっても毎日いろんな人からたくさんの相談事をされるのって正直しんどいなと最後はそう思うようになっていました。
そんなこんなでたった2週間の実習でしたが「先生って大変過ぎる!」ということは嫌というほど思い知り、めんどくさがりやの私には絶対向いてないし、私みたいなのは先生になるべきじゃないと決心していまにいたっています。
本書はそんなものぐさな人には向かない先生という職業についてしまっためんどくさがり屋さんのお話でして、ひさびさに「これはおれだ!」と思うくらい共感をおぼえながら読んじゃいました。人と本気で関わるだなんてめんどくさいと冷めた態度で他者と接する姿や、そこからもう一歩相手に踏みこんで付き合ってみようとするに至る経緯がとても分かりやすいというか、私自身の経験とよく似ていてとてもおもしろかったです。
「他者を見た目や雰囲気で適当にカテゴライズしてそれぞれに適した態度をとるのではなく、実際はどういう人なのか?というところまで踏み込んで理解してみた方がいい」というのは実感としてよくわかるのですが、そういうことを説教くさくならないようにうまくサジェスチョンできているところがすごくよかったです。
あの当時はぜったいに先生にはならないぞと思ったけど、この本を読んでみたら意外に高校教師も性にあってたのかもなと思ったのでした。
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