「空飛ぶタイヤ」読んだよ

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)

空飛ぶタイヤ(上) (講談社文庫)

走行中のトレーラーのタイヤが外れて歩行者の母子を直撃した。ホープ自動車が出した「運送会社の整備不良」の結論に納得できない運送会社社長の赤松徳郎。真相を追及する赤松の前を塞ぐ大企業の論理。家族も周囲から孤立し、会社の経営も危機的状況下、絶望しかけた赤松に記者・榎本が驚愕の事実をもたらす。

http://www.amazon.co.jp/dp/4062764520/

空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)

空飛ぶタイヤ(下) (講談社文庫)

事故原因の核心に関わる衝撃の事実を知り、組織ぐるみのリコール隠しの疑いを抱いた赤松。だが、決定的な証拠はない―。激しさを増すホープグループの妨害。赤松は真実を証明できるのか。社員、そして家族を守るために巨大企業相手に闘う男の姿を描いた、感動の傑作エンターテインメント小説。

http://www.amazon.co.jp/dp/4062764539/


普段は雑誌などほとんど買わないのですが、先日、講談社から出ている文庫情報誌「IN★POCKET」を買ってしまいました。

IN☆POCKET ’09-9 (2009) (IN★POCKET)

IN☆POCKET ’09-9 (2009) (IN★POCKET)


連載されていた小説のほとんどは途中から読んでも内容が理解出来なくてあまり面白くはなくて、あー買わなきゃよかったなー、なんて思ってたのですが、この雑誌の中で池井戸潤氏のインタビューが掲載されていてそれがものすごく興味深くて読みふけってしまいました。口先だけのコンプライアンスを掲げている会社は死ね*1と言わんばかりの発言と、そんな気持ちをエンターテイメントにまで昇華させて描かれたという「空飛ぶタイヤ」という作品に強烈に興味を惹かれました。加えて、人間の持つ弱さへの共感と善意の欠片が物語を牽引しているという中島さんの書評もすごくおもしろくていっそう興味を持っていました。
そんな矢先、出張帰りに寄ったKIOSKで「空飛ぶタイヤ」が置いてあったのを見つけて迷うことなく手にしました。
駅の売店で小説を買うという行為は、「仕事帰りに新幹線に乗ったらビールを飲む」とか「おしぼりが出てきたら顔を拭く」といった加齢臭漂う恥ずかしい行為だと私は思っていたのですが、そんなことも忘れてしまうほど強く読んでみたいと感じていたともいえます。


とにかく念願かなってやっと読む機会に恵まれた本書ですが、期待していた以上にすばらしい作品でした。
感動とも何となく違うような気がするけれど、でも読み終えてとてもスーッと気持ちの収まる思いでした。現実にはこんなに都合よく話が収まることはないのかも知れないけれど、それでも多少不器用であっても真面目に生きようとする人が最後にはバカを見ずに済む世界であって欲しいと願っている私にはとても気持ちの良い物語であり、誰が何を言おうともこの作品をわたしは全力で支持することをここに表明したいと思います。


[追記]
既にドラマ化されていたんですね。まったく知りませんでしたが、この原作がどのように映像化されているのか非常に興味があります。
見てみたいなあ。

*1:ここまでストレートには言っていませんがたぶんそのくらいの気持ちだと感じましたので代弁してみました