「ハゲタカ」見たよ


かつて徹底した合理主義で幾多の企業を買い叩き、“ハゲタカ”の異名をとっていた鷲津政彦(大森南朋)。相変わらず閉鎖的で不透明な日本のマーケットに絶望し、海外生活を送る鷲津の元へ、盟友・芝野(柴田恭兵)が訪れる。芝野は、日本有数の大手自動車会社に対する、豊富な資金力を持つ中国系巨大ファンドの買収を察知し、鷲津にこの危機を救ってほしいと頼みに来たのだ。この巨大ファンドの命を受けたのは、“赤いハゲタカ”劉(玉山鉄二)。かつてニューヨークで鷲津のもとで働いていた男だった。大手自動車会社に買収を仕掛け、鷲津に真っ向から戦いを挑む――。“日本買収”ビジネスをめぐる二人の男の野望と挫折を描いた傑作TVドラマが映画化。史上最大のマネー戦争がいま、始まる!

『ハゲタカ』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。
好評だったというテレビ版は観ていなかったのですが、さほど大勢には影響はなく楽しく鑑賞することが出来ました。
圧倒的な資金力を持つ中国系ファンドに狙われる日本の基幹産業という構図は、国粋主義者ではなくともファンドへの抵抗感から企業側に肩入れしたくなるうまい構成だと感じたし、玉山演じる劉の立ち振る舞いの巧さというか狡賢さがとても丁寧に表現されていて、作品の世界にグッと惹きつけられました。


また、スピード感のある展開や情報戦は見ごたえがあってよかったです。わたしはこの手の企業買収の実態はまったく知りませんし、株もやったことがないのでこれがリアリティのある内容なのかは判断できませんが、素人目には十分過ぎるほどに事実のように感じられたし、だからと言って細かい説明が必要な難し過ぎる専門用語もさほどなくてとてもバランスのよい出来だったと思います。


さて。日本には株取引や企業買収をマネーゲームと呼んで忌み嫌う人が多く、その考えの根っこには汗を流して地道に稼ぐことを善しとする考えが根強いのだと本作品は主張しています。わたしもうまい話には必ず裏があると考える方ですし、このようにお金を右から左に動かすだけで大金を稼ぐことにはあまりいい印象をもっていませんでした。ですので、ファンドのように狡猾さや立ち回りのうまさを武器にして、さほどリスクを負わずにおいしいところだけ持っていくという考えには何も共感出来るところはないと思っていました。


話は変わりますが、この作品の後半には鷲津がアカマ自動車の社長に対して社長が過去に行ったさまざまな打ち手がすべて無駄だったと斬って捨てるシーンがあります。鷲津の侮辱的な言葉に対して、社長は経営のリスクを負わずに人の金で儲けているだけのお前はハゲタカだと激しく抗するのですが、この社長の言葉は日本のマジョリティの声を表すための言葉であり、そしてこの社長のようにただ声を荒げるだけで結局はどうすることもできない世の多くの人たちの無力さをこのシーンは表現しているとも言えるのです。
だから鷲津の言葉よりも社長の言葉に共感をおぼえてよいはずなのに、まったくそういう気にはならない、むしろ無能さをさらけ出して悪態をついているだけのどうしようもない人としか感じられないのです。


ファンドも結局は使う局面が大事なのであって、その存在そのものによいも悪いもないという至極当然の結論にたどり着くことができたのは鑑賞後でした。
上に書いたようなわたしの偏見が自然に矯正されたという点だけとって考えても、非常にインパクトのある作品だったと言えます。
唯一、劉の結末をのぞいては...ですが。


それと、かわいい子が出ていないと映画は見る気がしないという人のためにとてもいい情報がありまして、栗山千明がとてつもなくかわいかったです。以前の彼女とは二皮くらい向けたと感じるくらい印象が変わっていて驚きました。
前からきれいな人だとは思っていましたが、わたしの好みの守備範囲をレフトだとすれば右中間あたりにいる人だと感じていたのですが、今作ではまさにレフトまっしぐらな感じでとてもよかったです。
配役や演技の何をほめたらよいのか分からないくらいすべてが高止まりしていました。



昔の写真と見比べてみたら、髪をしっかりまとめたのがよかったのかもなー、などと思いました。
長くしておくよりこっちの方が断然いいよ。


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