- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2001/05/01
- メディア: 文庫
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妻・直子と小学5年生の娘・藻奈美を乗せたバスが崖から転落。妻の葬儀の夜、意識を取り戻した娘の体に宿っていたのは、死んだはずの妻だった。その日から杉田家の切なく奇妙な“秘密”の生活が始まった。映画「秘密」の原作であり、98年度のベストミステリーとして話題をさらった長篇、ついに文庫化。
http://www.amazon.co.jp/dp/4167110067
あーーーーーーーーー。これは無理。絶対に無理。
もう読んでる途中から走って読んでいるその場から逃げだしたくなりました。娘と妻を失ってしまったという喪失感がひしひしと伝わってくる前半もかなり本気で厳しかったのですが、それさえも後半に襲いくる「切なさ満点の展開」と「その後に判明するある事実」の強烈さの前には、もはや最初から何もなかったのと同程度のインパクトしか残らないほどでした。
読み終えて最後まで読んだことをひどく後悔しましたし、タイトルの本当の意味は知らないままでいたかったなとさえ思いました。
先日観た「アメリカン・クライム」と同じく、これに関するわたしの中の記憶を根こそぎ消して欲しいくらいです。
結末の是非についてはネットを探せばさまざまな意見を読むことが出来ますが、男性のほとんどの方が「後味が悪かった」と嘆いているのが印象的でした。小説とはいえ、このような展開は多くの男性にとってタブーなようです。その例に漏れず、わたしもこの結末が本当にダメでして、もう心がめちゃくちゃにへし折られてしまいました。
読む前に本の背表紙に書いてあるおおまかなあらすじを読み、「死んだ妻が子どもの体に戻ってきた話」だというのは知っていました。そして、多少シチュエーションは違いますが、赤川次郎の「ふたり」みたいに最後は戻ってきた人がゴニョニョする話なんだろうなとか考えながら読んでいたのですが、ラストでグーパンチで殴り倒されたみたいなショックを受けてしばらく放心状態でした。
すっかり忘れていたのですが、これは東野さんの著書なのです。彼の書くものが、わたしが予想出来る程度にありがちな展開なわけはないよなと今でこそ思うわけですが、もう油断していたわたしは本当にノホホンと文字を追っていただけでした。
非常にユニークな作品だし多くの人がおもしろいというのも分かるのですが、結婚していて、かつ、小さな娘がいる人にはお薦め出来ません。
で、これを原作とした映画が撮られているようなのですがその出来はどうなんだろうな...と思い、調べてみたらなんと監督は滝田監督でした。さらにキャストもとてもよさそうな感じでかなり興味が出てきました。10代の広末が演じる藻奈美はかなり期待出来そうだし、何より東野さんご本人も大学講師役として出ているということでそれはぜひ拝見したいです。
原作のことを「もう二度と読みたくない」などさんざん言っておいてなんですが、映画の方はぜひ一度観てみようと思います。