ピアノの森


ピアニストを目指す雨宮修平は小学5年生。夏の終わり、とある田舎町へ転校した修平は、ガキ大将"キンピラ"に目をつけられる。"壊れているのに何故か夜になると音がする"森の中の不思議なピアノを弾いて来いと言うのだ。その修平を救ったのは、同級生の一ノ瀬海(カイ)。「あのピアノは音が出るんだ!」と言い張る海とキンピラは大ゲンカになるが、音楽教師・阿字野壮介の登場で退散。残された修平は、阿字野に" 壊れたピアノ"の事を聞くが、「あれはウソだ」と言われる。

 放課後、海は修平をその"ピアノの森"へ誘う。薄暗く大きなその森の奥で修平が見たのは、美しい木漏れ日に照らされる一台のグランドピアノ。修平は鍵盤を叩いてみるが、全く音が出ない。不思議な事に、海が叩くと何故か音が出るのだ。自由奔放に裸足のままピアノを弾く海。しかもその音は強烈に修平をひきつけ、激しく心を揺り動かす。だが、海は一度もピアノを習った事がないと言う。なぜ修平には弾く事のできない"森のピアノ"が海には弾けるのか?── 修平は海を自宅に招いてピアノを弾かせるが、海の弾き方はとんでもないものだった。そして二人は、会話を聞いた修平の母から、阿字野はかつて優秀なピアニストだったが事故で引退した事を知らされる。

http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=7852

MOVIX宇都宮にて。
神童に続いて本年二作目となるピアニストを題材にした作品。神童同様、作品中に音楽が満ち溢れていて幸せな気分になりました。すごく良かった。


まずはオープニング、エンディングが何となくぼくなつっぽくてすごく好き。
車の中から新しく住む町を見つめるその映像はどうしてもぼくなつのオープニングを思い出させられます。のっけから結構ぐっと心を鷲づかみにされたようでした。これ考えた人最高。


次いで天賦の才に恵まれた人とそうでない人との間に横たわる大きな溝の描き方が良かった。
例えば。
優秀な人間を天才型と秀才型と区別する事がありますが、まさにこの作品は天才である「海」と秀才である「修平」の物語なのです。天才であるが故に自身の才能が本物なのかどうか思い悩む海に対し、日々修平が続けてきた努力もせずあっという間にピアノを弾きこなしていく海に言いようのない嫉妬をしてしまう修平。何となくありがちな設定のようですが、この二人の関係が単なるライバル関係だけではなく、時には相手を自分の事以上に思いやる大事な友達としての一面もあり、その関係に一言では言えない何だか複雑な気持ちを抱かずにはいられません。甘辛いとか甘酸っぱいとかエロかわいいみたいな単一ではないもう少し複雑な感情が沸いてきます。それと言うのは何となくうまく自分の中で処理出来ない気分であって、結局その消化不良な状態が何となく気持ちいいって事なのです。
それが変だとは分かるけどでもこの気分結構好きなんですよね。


何となく絵が苦手な感じだったので距離をおいていましたが、見ているうちに全然気にならなくなりました。むしろいいんじゃないかという気さえしてきたくらいです。絵だけで食わず嫌いにならず、まずは一度見ていただきたいです。


公式サイトはこちら