「I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE」観たよ!


いつも空想力豊かなスヌーピーは、パイロットの“フライング・エース”となって宿敵レッド・バロンを追跡して倒すべく、大空へと飛びたち危険なミッションに挑む! 一方、飼い主チャーリー・ブラウンも、彼にとって壮大な冒険の旅に向かうことに…。

『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』作品情報 | cinemacafe.net

幼児のころ、誰からもらったのかわかりませんがわがやには大きなスヌーピーの人形がありましてそれがわたしの宝物でした。寝るときも遊ぶときもいつも手元から離すことなく持ち歩くくらいだったせいで、いつしかスヌーピーはボロボロになってしまいました。

もう古くなったから新しいぬいぐるみを買おうよと言われても「これがいい」とまったく聞く耳をもたず、ボロボロになったスヌーピーを片時も手放さないわたしを見かねた両親がある日勝手にスヌーピーを捨ててしまったためにしばらく泣き喚いていたことはよくおぼえています。

30年以上前のことなので詳しいことはおぼえていませんがめちゃくちゃ悲しかったことはおぼえています。

それ以来、スヌーピーを見るとなんだか悲しい気分になるためにスヌーピーからなんとなく距離を置くようになってしまいました。スヌーピー自体は相変わらず大好きでしたが見ると捨てられたときの思い出しちゃって無理でした。


というわけで、いまだにそのことを引きずっているわけではありませんがずっとスヌーピーとは疎遠になっていたこともあって本作も公開前はあまり観る気はありませんでした。


本作はスヌーピーの物語...かと思っていたのですが、観てみたらチャーリー・ブラウンの物語でした。

本作の主人公チャーリー・ブラウンは、ドジでまぬけで何かするたびに周囲の人たちにバカにされたり笑われたりしているのですが彼はそんなダメな自分から目を背けることなく直視した上で理想の自分と現実の自分のギャップを埋めようとがんばることができるとても魅力的なキャラクターです。

彼は自分の気持ちにとてもまっすぐで、自分なりの正義やルールを曲げることは決してありません。
自身で課したルールを固く守り続けるよりも、ルールを破ってでも目の前に置かれている課題を解決するために適当に折り合いをつけて生きる方がとても楽だということは彼もよくわかっているのですが、たとえ損な生き方を選んでいるとわかっていても彼は自分に課したルールは絶対に守ります。

誰が見ているわけでもないのに自らに課したルールを守り、自分が信じる正しさを貫き続けるのです。


物語が始まってしばらくはそんな彼の不器用すぎる生き方にイライラしてしまったのですが、それでもずっと彼のことを見ているうちにそのまっすぐさに心を奪われてしまいました。甘い誘惑や欲求に負けることなく自分に課したルールを守り続けるチャーリーのことが見ているうちに大好きになったのです。


理想と現実。

人は誰でも「こうありたいと願う理想の自分の姿」と「現実の自分の姿」というもののギャップに悩んでいるというのがわたしの持論です。「こういう人でありたいと願う姿」と「現実の自分の姿」のあいだにはマリアナ海溝よりも深い断絶がかならずあって、本来であれば現実の自分に足りない部分を正しく把握してその足りない部分を少しずつ埋めていくことで理想の自分に近づいていけるのですがそういう地道な努力できる人は本当にごくごくわずかで、大抵の人はそのギャップから目を背けたりあきらめることで折り合いをつけてなんとか生きているのです。

わたしも理想の自分と現実の自分を比べることがよくあるのですが、ほんと死にたくなるくらい現実の自分ってどうしようもないですからね...。


チャーリー・ブラウンもまたそういったギャップの大きさに悩んでいるのですが、彼はそのギャップから決して目を背けることなくいつも現実の自分と向き合っています。いつもドジばかりで周囲から尊敬を得られていないんじゃないかと悩む姿には共感をおぼえる一方で、そんなふうに悩んだり不安を抱えていることをごまかそうとは決してせずにありのままの自分で勝負し続けることにはとても真似できないなと思ってしまうのです。


不器用すぎるくらいまっすぐに自分の気持ちにまっすぐであり続けるチャーリー・ブラウン

そういうまっすぐさは人間的な魅力として伝わってくるのですが、でもそのまっすぐさは悪く言えば不器用さでもあるために、損な役回りを受け持つことになったりやりたいことがうまくできなかったりして結局彼が願うことはかなわずじまい。そこがすごくかわいそうだなと思っていたのですが、最後の最後で彼が好意を寄せていた女の子が彼のよさをちゃんと理解してくれていたことがわかってめちゃくちゃうれしい気持ちで映画を見終えました。


@TOHOシネマズ宇都宮で鑑賞