ヘルシンキに向けて飛行中のアメリカ大統領専用機エアフォース・ワンが、テロリストの地対空ミサイル攻撃を浴び、フィンランド北部の人里離れた山岳地帯に墜落した。緊急脱出ポッドに避難したアメリカ大統領は、森の奥深くに着地して一命を取り留めるが、ポッドの位置を見失ったワシントンD.C.の国防総省は救助隊を送り込むことができない。山に身を潜めていた武装テロ・グループは、すかさず孤立無援の大統領を捕獲しようと“地上最大の狩り”を開始。もはや絶体絶命と思われた大統領に救いの手を差しのべたのは、シカ狩りをしていた狩人の血を引く13歳の少年ハンターだった…。全てを失った大統領と少年ハンターの究極のサバイバルがいま始まる…。
『ビッグゲーム 大統領と少年ハンター』作品情報 | cinemacafe.net
高いセキュリティに守られていたはずのアメリカの大統領専用機が、テロリストと内通していた側近の暗躍によって防衛システムがすべて無効にされてしまいミサイル攻撃であえなく撃墜。大統領はミサイルに撃たれる直前になんとか緊急脱出用のポッドで避難するものの、山の中に着陸したために守ってくれる人がだれもいないまま内通者やテロリストたちに追われることになって....というお話です。
そんな心細い状況で大統領が出会ったのが一人の少年オスカリ。
オスカリは狩猟を生業とする部族の一人なのですが、そこの習わしでは13歳になる日の夜に森へ一晩こもって狩りをしてその晩に狩った獲物を自慢する獲物を狩れたらいっぱしのハンターとして認められることになっています。そして大統領とオスカリが出会ったその日はなんとオスカリ12歳最後の日でしてちょうどハンターとして認めてもらうための狩りのために森にひきこもっている日だったのです。
ところが、残念ながらオスカリはまだハンターとしてはとても未熟で弓さえ十分に引けないくらいのへっぽこです。
オスカリのお父さんは13歳のときに熊を倒して見せたという伝説の剛腕ですが、その息子であるオスカリは背は小さくて腕力も十分ではないため、部族のおえらいさんも「こいつにはまだ無理だから止めさせた方がいいよ」と思わず言ってしまうほどのか弱さです。
だからとてもテロリストたちから大統領を守れるほど強いわけではないし、そもそもオスカリ本人に「大統領を守ってやるぞ!」という気持ちがほとんどありません。
助けを求められている手前、大統領と行動はともにしているものの、彼の頭の中は狩りで獲物をゲットできるかどうかでいっぱいいっぱいなのです。
部族の人たちから「こいつにはこの試練は無理だろう」と思われていることは嫌と言うほどわかっているし、自分の力量不足は彼自身が一番よくわかっています。それでも自分が失敗することで父親の名に泥を塗りたくないし、できることなら大物を仕留めて父親に認められたい、褒められたいとそのことばかりを考えているのです。
対するテロリストたちは武器も腕力も人数もそろっていてもてる力を総動員して大統領を狙ってくるわけですから、これはもうとても大統領側に分の悪い勝負になることは明白ですし、実際に映画の中でもあっという間に大統領が追いつめられてしまいます。
武器もない、護衛もいない、助けてくれそうなのはハンター採用試験を受験中の13歳の男の子だけという絶望的な状況でしたが、そんななかで起きたオスカリと大統領のあるやりとりをきっかけに物語は一気に動き出します。まったく頼りなかったオスカリが、いざ覚悟を決めて戦うことを選んだところから、まるで賢さと強さを兼ね備えたベテランのハンターのようにどんどん決断を繰り返して窮地を切り抜けていきます。そしてその様がもう見ていてとても気持ちよかったです。
中盤からラストにかけてちょっと演出が過剰だなと感じる部分もありましたけど、あれはあれで個性というか作品の色としてとらえられる程度でした。
なんとなく続編も作れそうな終わり方でしたし、もしヒットしたら続きがありそうですね。
@MOVIX宇都宮で鑑賞