「300 帝国の進撃」見たよ


前作で死闘を繰り広げたのは、最強国家スパルタの300人の兵士たち。その“誇り高き魂”を継いだギリシア屈指の戦士たちが、全土を集結させて立ちあがる。 対して、征服をもくろみ100万の大軍勢で押し寄せるペルシア侵略軍。率いるのは残忍極まりない女性指揮官、そして人間から神の化身へ生まれ変わったクセルクセス王。屈強な筋肉ソルジャー対、比類なき残虐女戦士―― 最終決戦は荒れ狂う大海原。ぶつかりあう闘志、憎悪、歪んだ愛。母なる海を真っ赤に染める復讐戦の行方はいかに!?

『300<スリーハンドレッド> 〜帝国の進撃〜』作品情報 | cinemacafe.net


たった300人で大国ペルシャの軍隊に立ち向かったスパルタ軍の雄姿に胸を熱くさせられた前作「300」から早7年。

当時、映画を趣味にし初めて間もない時期だったために海外の映画監督のことはほとんど知らなかったのですが、この作品を観て映像の素晴らしさにいたく感動し、ザック・スナイダーという名前を胸に刻みました。そのくらい衝撃的な映像体験だったと言っても過言ではないくらい「300」を観てショックを受けたのですが、そんな大傑作の続編が公開されるということでかなり興奮して公開を待っていました。


ところが!

ところがですよ。なんと続編の監督がザック・スナイダーではなくて、脚本だけだと聞いて心底がっかりしました。
正直観る気を失うくらい失望しましたが、前作の続きも気になるしとりあえず観に行ってきました。


まず本作の映像についてですが、ここはやはり前作とは違うなと感じる部分が多くありました。
とくに違和感をおぼえたのが冒頭のマラトンの戦いです。

ペルシアとの因縁の源泉である戦いを振りかえるシーンなのですが、ここがもう「スローモーションを使っておけばいいんでしょ?」と言わんばかりにスローモーションを連発してきてかなりイライラしてしまいました。

たしかに前作のぶつかり合う瞬間、相手に致命傷を与える瞬間をスローモーションで描くという手法はとても印象的でしたし、戦いのスピード感を維持しつつ決定的な瞬間をきっちり見せることができるとても有効的な手法だと思いますが、だからといってこんなに連発されると安売りされているようでイラッとします。

ここぞという場面で使うから効果的なのであって、こんなに何度も使われると効果は半減どころのさわぎではありません。

もはやスローモーション祭りと言わんばかりのスローモーション連発に「違うよ、そういうことじゃなねえんだよ!」と心の中がポンペイの火山のように煮えくりかえってしまいました。



そんなわけで出だしからこれじゃないロボットを出動させてしまいましたが、物語が進むにつれてそういった過剰な演出はナリをひそめて見やすくなったし、とりわけよかったのがテミストクレスがアルテミシアとの一騎打ちにいどむ直前に、仮面をかぶったアルテミシアの部下たち(すごい手練れたち)に囲まれるものの圧倒的な強さでチャチャッと片づけてしまうシーンでして、ここだけ繰り返し見たくなるほど最高のシーンでした。

ここは大興奮!


次いでストーリーについてですが、こちらはきちんと抑揚がついていて意外というのは失礼ですがとてもおもしろかったです。
ただ、全体的に歯切れの悪さというか、前作のようなくっきりとした流れをくみたてることができていなくて、全体の印象がややぼんやりとしているように感じました。前作はムキムキ野郎たちがムキムキ戦うだけというこれ以上ないくらいシンプルなお話だったので、あれと比べるのも気の毒ではあるんですが。

あと、事前に予告を観なかったために観るまでは前作の続きのお話かと思っていたのですが、一部を除くほぼすべてが前作と時間軸を半分くらいクロスさせていたために前作のあの戦いの裏ではこんなことが...と妄想が捗りました。


そんなわけで不満はありつつもとても楽しめる作品でした。
今作がおもしろくないんじゃなくて前作が良過ぎたんですよ...。今作も十分傑作だと思います。


@MOVIX宇都宮で鑑賞


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