「パシフィック・リム」見たよ


2013年、太平洋(パシフィック)の深海から突如出現した未知なる巨大生命体に、世界中の大都市が次々と破壊され、人類は滅亡の危機に晒される。甚台な被害を受けた人類は、巨大生命体と戦うため、英知を結集して人型巨大兵器“イェーガー”を開発する。“イェーガー”は次々と現れる巨大生命体の侵攻を食い止めることができるのか――?

『パシフィック・リム』作品情報 | cinemacafe.net

初日のレイトショーで観てきました@TOHOシネマズ宇都宮


わたし自身は怪獣にもロボットにも造詣は深くなく、またそういったものにのめり込んだ過去もありません。幼いころまで記憶をたどっていってもそういったものへの興味につながる気配はまったくなくて、おそらく昔から興味の対象外だったのだろうと思います。

そういえば同年代の友だちの中ではポピュラーだったガンダムも残念ながらぜんぜん知らなくて、何気ない会話の中で「子どものころはどのモビルスーツが好きだった?」なんて聞かれても知らないとしか答えることができなくてそのことにつよい劣等感をおぼえたこともあります。怪獣映画もまったく観たことなくて知らないんですよね...。


そんなわけでこの「パシフィック・リム」についてもそれほど期待していたわけではないのですが*1、この作品に対するtwitterでの盛り上がり方が尋常ではなくて興味が一切無かったわたしも初日に観てみたいと思うほどの熱をまきちらかしていました。去年の「アベンジャーズ」もわりと似たような盛り上がりがあったと思うのですが、わたしの観測範囲に限っていえば「パシフィック・リム」の方が膨大な熱量が放たれていたように見えましたし、そんな熱に憑りつかれてうなされるようにフラフラと観に行ってきました。


まず全体を観ての感想は本当におもしろかったとしか言いようのないすばらしい作品でした。


冒頭、人類がおかれている状況を説明するシークエンスをわずかにはさんだだけで本編へと突入するのですがその少しの説明がとにかく鮮やかで見事なんです。そしてそこからまったくスピードを緩めることなく物語は加速していき、最後までテンポよくストーリーはつむがれていくので131分というやや長尺な上映時間もあっという間に感じました。

見事としかいいようのない語り口とアクションシークエンスの出来のよさに圧倒された2時間でした。


以下、映画を観て感じたことをもうちょっと掘り下げてみます。


ロボットがかっこいい

ストーリーを簡単にまとめると「太平洋の海底に時空のひずみが出来てそこから出てきた怪獣が人類を襲ったのでロボット作って撃退するよ!」というお話です。あ、ロボットじゃなくてイェーガーですね。つまり人類目線で言えば、怪獣は敵でイェーガーはその敵から守ってくれる味方であってこのロボットが何台も出てくるんですがそのどれもが個性的ですごいかっこいいんです。


 イェーガーを動かすためには2人の操縦士が必要でその2人は記憶を同期させないといけないという制約があります。
2人が乗り込むということでいわゆるダブルエントリーシステムというスタイルになるのですが*2、この設定はとてもよかったんじゃないかと思います。

遠い記憶過ぎて具体的にどのストーリーだったのか思い出せませんが、エヴァでもシンジとアスカがダブルエントリーで使徒を殲滅したところがあってあれもすごくよかったです。そう考えると、一人で戦うよりも二人がシンクロして力を発揮して敵を倒す方が盛り上がる気がします。


でもロボット以上に怪獣がかっこいい


そんなわけでイェーガーは強くてかっこよかったんですが、個人的にはロボットよりも敵の方がかっこいいなと思いました。


中でもしょっぱなに出てきた尖った頭でロボットのボディを貫通させるナイフヘッドの造形にキュンキュンしたのですが、その後2時間絶え間なく現れる怪獣ぜんぶがかっこいいんです。尻尾がやたらと強力だったり、口から強烈な酸をぶっ飛ばしてロボットを溶かしたりと個性豊かな上に強くてイェーガーをいつも窮地に追い詰めてくれます。

敵が強いからこそ陥っている窮状のたいへんさを観客に訴求できるわけで、その点についてはどの怪獣もよい仕事をしていたなと思いました。

まとめ

そんなかっこいいイェーガーと怪獣が、時に全力で殴り合いながら、時に身を引き裂きあいながら殺し合う、しかもそれが一度や二度ではなく2時間ずっと続くわけですからこれはおもしろくないわけがないですよね。人類目線で観ればイェーガーに勝ってほしいけど、でも怪獣もすごくかっこよくて簡単にやられないで欲しいと思ってしまう。

矛盾しているのはわかってるんですが、なんかもうどっちも応援したくなるんですよ。

例えるなら格闘技の試合で昔から大好きだった選手同士が戦っていてどっちも応援せずにはいられない的な、勝敗が付く戦いなのにどっちにも負けて欲しくないという観ているわたしの身も引き裂かれるような気分になっちゃいました。


そして何よりもよかったのはあの場で映画を観ている人たちの多くが、この作品のことが好きな人たちだったということです。

自宅で近しい人といっしょに観るのならともかく、映画というのは基本的にしゃべりながら観るものではありません。
だから映画館で映画を観るときに周囲の人がどう思っているのかを知ることは難しいのですが、こと、好きな映画を観るということに限って言えば周囲の人たちがどのくらいうれしい気持ちを抱えながら映画を観ているのかということは分かります。

笑い声のような分かりやすいものから緊張感を共有していることが伝わってくる静寂、そして気を抜いた瞬間にわずかに漏れるため息。

こんなふうに言葉で表せることばかりではないのですが、この作品のことが好きだという人がたくさんいてそういう人たちの中でこの作品を観られたことがこの作品を楽しめた一番の要因だったと思います。先日観た「謎解きはディナーのあとで」という作品もそうでしたが、どんな作品であってもそれを好きな人たちと観ることが一番幸せなことだと思います。


そんなわけで予想以上にたいへんおもしろかったので次は3D吹替えで観に行きたいでござるよ。


公式サイトはこちら

*1:ギレルモ・デル・トロ監督のことはすごく好きで「パンズ・ラビリンス」や「永遠のこどもたち」はすごく大好きな作品です。ただ、ファンタジー色の強い作品の方が力量を発揮できる人だと思っているので「パシフィック・リム」についてはそんなに期待していませんでした。

*2:なんとなくダブルエントリーという単語がスッと出てきたのですが、これってエヴァの用語なんですかね?