「アイデアは考えるな。」読んだよ

アイデアは考えるな。

アイデアは考えるな。

すごい企画を1個出すよりすごくない企画を100個出せ!エジソンだってノート3500冊にボツ案を書いていた!ユニクロを始めとする一流企業も認めるブレストの達人の極意。

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わたしもあまり気の長い方ではないのですが、世の中にはびっくりするくらい沸点の低い人がいまして、やたらめったらと怒りだす人がいます。もはやその方の人生には「呼吸をするか」「怒っているか」の2択しかないんじゃないかと思うくらい怒りの権化みたいな人もいまして、正直そんな人は相手にするのもめんどくさくてしょうがないのですが、でもそういう鬱陶しさとは別に、何でそんなに怒るポイントがあるんだろうという興味もわいてきます。


で、まあそういう人を見かけたときには「どういうときに怒るんだろう?」と観察してみたのですが、一番多かったのは自分の意見と違う意見を出された時だったんですよね。自分が出した意見への賛同意見以外は許せない!とでも言わんばかりに、他の考えにはかみついたりしてまして、君はどれだけ尊大なんだよと改めて呆れたわけですが、でもまあ怒りたくなる気持ちは分からなくはないなとも思ったのです。


例えば。
ちょっと遠い場所まで今すぐに行かなければならないというときに、その場所への行き方を何パターン知っているかで心に余裕を持てるかどうか大きく変わってきます。もし一パターンしか知らない場合には、もし唯一知っている方法が実現できなかったらあっという間にパニックに陥ってしまい、あたふたする羽目になります。場合によっては実現できない原因を作ったものに怒りを覚えるかも知れません。
でももし三パターンくらい知っていれば、仮に一つがダメでも大抵残りの二つで何とかなりますし、一つがダメだったくらいではイライラしたり怒ったりしません。


つまり、無性に怒りたくなる時というのは「自らのやりたいことへの実現パスが極端に少ない場合に、その少ない選択肢を否定された時」に多いということが言えます。
改めて書くことではありませんが、何事も複数の実現方法を考えておくのはすごく大事だと思います。


本書は、つまらなくてもいいし、とりわけいいものでもないからアイディアはたくさん出そう。そうすれば楽しくなるよ!というとてもシンプルで前向きな内容でした。わたし自身、こういう考えはすごく好きなのですが、でも仮にこういうことをわたしが書くとどこか嘘くさい言葉に成り下がってしまいます。
何で?と思うのですが、それはやはり発言者に対する信頼感だと思います。わたしはこういうことを心の底から叫べるほど強く思い、行動できてるわけじゃないですし、それをわたし自身がよく知っているので到底聞く(読む)に堪えないのです。
たまに「誰が言ったかではなく、何を言ったかで評価される世の中がいい」というひとがいますが、でも個人的にはそうはならないだろうなと思っています。だって単に素晴らしいだけの言葉なんて名言集とかがあればそれこそ誰にでも言えるわけですが、実践の伴わない人の言葉に感化される人がいるとはとても思えないんですよね。
普段からその言葉通りのことを実践している人が発言するからこそ、言葉には重みが生まれて価値を感じられるようになるんです。


その点、著者である柳澤さんは面白法人という会社を立ち上げるくらい楽しんで生きることを実践されていることはあちこちで伝え聞くことが出来るわけで、この人の言葉だったら信じてもいいなと思うんですよね。


話がちょっとそれてしまいました。
で、アイディアをたくさん出すと何がいいのかというお話。
たくさんのアイディアを出すということは一つの目的の実現パスへの選択肢を増やすことであって、それが一見くだらないアイディアであったとしても選択肢が増えることで心に余裕がもてるのです。たったひとつの考えを否定されて怒るよりも、たくさんの考え、やり方があることを学ぶ方が精神衛生上よろしいような気がしますし、無駄なストレスからも解放されます。


そしてもう一つ。本書にはアイディアに関するとても面白いことが書かれていました。それは「アイディアとは既存の要素の新しい組み合わせである」というものです。この「既存要素の新しい組み合わせ」という言葉でピンとくるのは、そう"イノベーション"です。
つまりアイディアとはイノベーションの源泉であり、そのたくさんのアイディアの中からイノベーションが生まれるということなのです。


日々のさまざまな出来事、時にはつまらなくてやりたくのないことも含めて、いろんなアイディアを出して楽しくしようという心がけはとても共感できるし、わたしも出来るだけ実践していきたいと思いました。


とてもいい本!