「ちょんまげぷりん」見たよ


ある日、仕事と家事に追われ忙しい毎日を送る、シングルマザーのひろ子(ともさかりえ)とその息子・友也(鈴木福)の前に、ちょんまげ姿の男が現れた。聞くと名前は、木島安兵衛(錦戸亮)、180年前の江戸から来た侍だという。行くあてもなく、親子の家に転がりこんだ安兵衛は、居候のお礼にと、働くひろ子のため家事を手伝う。友也のために作ったプリンをきっかけに、みるみるお菓子作りの手腕を発揮した安兵衛はあっと言う間に超人気パティシエになってしまう。そして、一緒に暮らすうちに互いにかけがえのない存在になる3人だったが、やがて甘く切ない別れが訪れる…。

『ちょんまげぷりん』作品情報 | cinemacafe.net

TOHOシネマズ宇都宮にて。


予告を見てとても面白そうだったので観に行ったのですが、予告を見て感じていた期待どおりのよい作品でした。
シングルマザーであること以外はとりわけ変わったところのない、ごく一般的な親子と江戸時代からタイムスリップしてきた侍の交流を描いたユニークな作品。


最近、邦画を観ると若手のジャニーズメンバーが出ているのをよく見かけるようになりましたが、外見がよいのはアイドルですから当然としても、それに演技力が伴っていることにとても驚かされることが増えました。
例えば生田斗真がその最たる例ですが、「人間失格」や「シーサイドモーテル」での彼の居佇まいや演技は観る人の目を引き、その存在感を強く印象に残します。


本作の主演である錦戸君はどこか古風さも感じさせる端正な顔立ちと演技力で江戸の侍という役を見事に演じきっていて、表情一つ一つの作り方のうまさに感心させられました。特に冒頭のタイムスリップ直後の自転車置き場裏でともさかりえと出会うシーンの、怯え交じりの表情はすごくよかったです。
このシーンを見て「この作品おもしろくなるかも」と直感したくらい印象的なシーンでしたが、これ以降のシーンでも彼の立ち振る舞いや表情のひとつひとつがとてもよくて、彼にはこれからも映画にもっと出て欲しいと感じるくらい魅了されました。この作品では「現代にタイムスリップしてしまった侍」という特殊な役でしたので、次作はぜひもっとストレートに彼の魅力が感じられる役での演技を期待したいです。


さて。本作はタイトルや予告を見た限りではどこかおふざけモードな物語だと思っていましたが、実は本作のテーマは「働くこと」。
江戸時代の価値観では到底理解できない男女の役割の違いに戸惑う安兵衛と、子どもを一人で育てながら仕事を続ける苦労するひろ子の姿をとおして、「日本の労働環境って本当にこれでいいの?」ということを観る人に訴えかけてきます。


定時までは保育園に子供を預けて働き、仕事を定時で切り上げたあとに子どもを連れて帰って家事を100%こなすひろ子は本当に大変そうでして、シングルマザーが子どもを育てるのがどれほど大変なのかということがひしひしと伝わってきます。子どもが熱を出したと言えば早退して帰らなければならないし、定時に帰るというだけで嫌味を言われたりともう散々な状態でして、こんな環境で子育てしなければならないのであればシングルマザーとして子どもを育てたいとは誰も考えないだろうと思うわけです。
これを観た人が「こんな環境じゃよくない!」とか「もっと子どもを育てやすい労働環境になって欲しい」と考えてそういった社会の実現を理想としてもってくれればいいなと感じたのです。
いろんな人が子どもを育てやすい社会というのがどういうものなのか、わたしはこれだという案はありませんが、そういった社会に向かう第一歩の意識づくりにこの作品が役に立ったといわれる日がくるんじゃないかと期待しています。錦戸君はチョーイケメンなので、彼目当てでいいのでぜひ女性には観に行ってほしいです。


あと、ともさかりえが相変わらずとてもきれいだったのは嬉しかったなー。あと20年はあの美しさを維持してくれることを期待してます!


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