「抱擁のかけら」見たよ


14年前に起きた凄惨な事故で視覚を失った男(ルイス・オマール)には、2つの名前があった。映画監督時代に名乗っていた本名のマテオ・ブランコ、現在の執筆業のペンネームであるハリー・ケインだ。ハリーは事故の後、映画監督である自分を捨て、人生を賭けて愛した女性・レナ(ペネロペ・クルス)のことも封印していた。だがある夜、事故に遭った知人の息子の傍らで一晩過ごすことになったハリーは、お伽話をするように自分の過去を語り始める。それは、運命という名の嫉妬と欲望に翻弄された、愛に狂った男女の切なくも激しい愛の物語だった――。『ボルベール<帰郷>』に続き、スペインの奇才ペドロ・アルモドバルが彼のミューズ、ペネロペ・クルスと再びタッグを組んだ、愛の物語。

『抱擁のかけら』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。


前日、半徹夜だったために眠気に襲われながら鑑賞し始めたのですが、冒頭からの「盲目の老人とセクシーな女性の会話」といういまいち状況がよくわからない状態から突如性行為へ突入という衝撃の展開が繰り広げられたためにあっという間に目が覚めてしまいました。ボクシングでたとえれば「最初はジャブでくるだろう」と高をくくってたらいきなり右ストレートからアッパーを繰り出されて打ちのめされたようなものであり、心を改めたわたしは背筋を正して鑑賞にのぞんだのでした。


のっけからかなりインパクトある展開を見せた本作品ですが、始まってからしばらくの間にポツポツと謎として残されていたことを、舞台を2つの時間軸を往復させて描写することで徐々に全容を明らかにするというおもしろい構成になっていてなかなかよかったです。
急に時間軸が変わってしまうことでいろんなことが分かりにくくなるんじゃないかという懸念もあったのですが、実際観てみると全然そんなことはなくて、それぞれの時代に穴を開けてちょこちょことそれぞれをのぞき見ているような感覚で見比べてみているようでとても理解しやすいと感じました。未来という結末を知りながら過去を見るというのは、想像するよりも悪くなかったです。


監督が主演女優とニャンニャン*1する様子を観て、わたしは映画監督になりたいという想いをいつも以上に強く実感した作品でした。


公式サイトはこちら

*1:死語