MOMENT

MOMENT (集英社文庫)

病院で清掃のアルバイトをする神田は病院でとある噂を耳にする。それは死を目前にした患者の最後の願いを叶える仕事人がいるという噂。そしてある事がきっかけで神田はその仕事人として幾人かの患者の願いを叶えることになるのですが...。

あらすじ

読むまではそれほど期待していませんでした。ですが死を目前にした人が最後に願う事、思う事はどんなことなのかというテーマ。そして季節を感じさせる描写。そのいずれもとても素晴らしい作品でした。
この作品を読んでいると無意識のうちに死を意識させられている事に気付きます。それは舞台が病院という事も関係しているのでしょうが、何より死を目の前にした人たちの願いがとても切実なので彼らの直面している死と向き合うことになります。生きている以上どうしても訪れる死。普段は忘れたフリをしている事に気付き、そして実際に直面した時にどのようなことを思うのか、改めて考えさせられました。
例えば自分が死を目の前にした時に一体何を願うのだろう、何を思うのだろうと考えてみると、ありきたりですが今なら「死にたくない」と願うでしょう。それがダメなら、残してしまう家族がちゃんと生きてけますように...かな。結局、特に変わったこともお願い出来ずに最後を迎える事になりそうです。死が訪れて自分自身の意識が無くなってしまうと考えれば、叶えたい事なんて案外限られてるのかも知れません。こういうの考え出すとどんどん深入りする性質なのですごく苦手。

話を戻して。
作中でも死を目前にした人が願う事はどれも些細なことがほとんどです。そのささやかな願いを通して患者と神田の心が繋がり、またそのつながりのせいで神田にとっては患者の死が辛い思い出として残ります。うまくまとめられないのですが、この一連の流れがとてもぐっとくるというか好きだなと感じられるのです。

この作品もナツイチからのチョイスだったのですが、これまたいい作品。心底、ナツイチに感謝したいです。

[追記]
考えさせられましたにキーワードリンクが張られてたので飛んでみると

読書感想によく用いられるフレーズ

ちょｗｗｗ
私の感想は小学生の夏休みの宿題レベルかそれ以下だという事が発覚。悲しいけど笑うぜ!!