「ホットロード」見たよ


14歳の少女・宮市和希(能年玲奈)は、万引きで警察に捕まった。その日はママの誕生日。でも、ママは迎えに来なかった。和希の家には亡きパパの写真がない。ママが好きなのは昔から別の男。自分が望まれて生まれてきたわけではないことに心を痛める和希は、学校にも馴染めずにいた。ある日、転校生・絵里に誘われるまま、夜の湘南で“Nights(ナイツ)”というチームの少年・春山洋志(登坂広臣)と出会う和希。最初の出会いは傷つけ合って散々だったが、春山が身を置く不良の世界に和希は自分の居場所を求め、戸惑いながらも次第に春山に惹かれ始める――。

『ホットロード』作品情報 | cinemacafe.net


原作は未読なうえに昭和かと見間違うレベルの時代錯誤感ただよう予告映像にまったく魅力を感じなかったのですが、大好きな三木監督が監督をされるということでしたのでそれだけを期待して観に行ってきました。


まず観終えての感想は「ただただ暗くて不快なだけで感情に訴えかけるような部分のない話だったな」というものでした。


能年玲奈演じる和希は「実父と死別しているうえに唯一の肉親である母親からは精神的なDVを継続的に受けていて家に帰りたくなくてやさぐれている」という設定でしたが、なんかもう見ていてひたすらつらいんです...。和希の母親は亡くなった和希の父のことは最初から好きじゃなかったんだけど何らかの理由で結婚せざるを得なくて、でもじつは彼女には高校時代からずっと好きだった人がいるので和希の父が死んでからはそっちとベタベタくっついているっていうのは、和希の立場に置かれたことを想像するだけで鬱々とします。

さらにこの母は実の娘に対してひじょうに辛辣な言葉を投げつけてつらくあたるのですが、これがもう「この人、ぜったいに頭がおかしいだろ...」としか思えないレベルで理解不能な言葉責めなんです。精神的に病んでいる毒親に振り回される14歳の少女という構図がもう終始観ていてつらく感じられました。

和希の立場に立って見れば、自分の親があんな関わりたくないタイプだったらそりゃ家にいたくなくなるだろうし、その結果同じように家にいたくないと思っている素行の悪い人たちとつるむようになるのも自然であってそういう意味ではベタすぎるほどベタな話だよなと。

そういう「どこかで聞いたことのあるような手垢のついた物語」であること自体は映画自体を批判するものではありませんが、なんていうか観ながらまったく共感をおぼえなければ、のめりこんで観てしまう瞬間が一瞬もなかったことはちょっとどうかなと思いました。作中に登場する人はそこそこいたものの主演の二人以外はひじょうに影が薄かったし、物語をドライブさせるような発言・行動をとるのはいつも主演の二人だけというのはどうかなと。

そういう部分が物語の薄っぺらさというか物語の世界が立体的に見えなかった一因ではないのかなと思うし、原作がどうであれ、もうちょっと他のキャストに頑張ってもらった方がよかったんじゃないかなと思いました。メイントピックであるはずの暴走族の抗争についても、肝心のナイツのメンバーがみんなしょぼすぎてぜんぜん暴走族に見えないのもどうかと思うんですけどね...。


ただ、映像についてはハッとしてしまうものも多くていつまでも観ていたいと思わせる魅力にあふれていてそこはよかったです。


@MOVIX宇都宮で鑑賞


公式サイトはこちら