アパルトヘイト撤廃を導き、南アフリカ共和国大統領となったネルソン・マンデラ(モーガン・フリーマン)。それでもなお色濃く残る、白人と黒人間の差別や経済格差の是正を目指し、彼は同国代表のラグビー・チームのキャプテン、フランソワ・ピエナール(マット・デイモン)と手を結ぶ。そして、白人と黒人によって結成されたチームで、ワールドカップへの出場を目指す。
『インビクタス/負けざる者たち』作品情報 | cinemacafe.net
TOHOシネマズ宇都宮にて。クリント・イーストウッド監督最新作。
南アフリカ再建の礎を作ったマンデラ大統領の就任直後の様子を描いた作品ですが、観ていて胸の熱くなるシーンの多いすばらしい作品でした。大統領の日常を公私を問わずすべて描くことで、大事を成し遂げる人間はどういう人なのかということがとても丁寧に描かれていてそのひととなりや魅力がとてもよく伝わってきました。
期待していた以上によい作品でした。
上にも書いたとおり本作にはマンデラ大統領のリーダーとしての魅力があふれるほど描かれていたのですが、その中でもワールドカップでよい成績をおさめさせるために取った行動にはなるほどと感心させられました。
教育心理学とかの授業を受けたことがある人は「ピグマリオン効果」という言葉を聞いたことがあるかも知れませんが、これは「教える側が生徒に対して期待していることを伝えることによって生徒の成績が上がる」という効果を表す言葉です。
本作では、大統領は南アフリカ代表にワールドカップでよい成績をおさめさせるために大統領本人や国民がいかに期待しているのかということを選手に伝えるわけですが、これはまさにピグマリオン効果を期待してのものだったのです。
それまではテレビやマスコミから勝てないことを叩かれ続けた代表チームが、さまざまな期待を背負うことで見違えるように勝利へのモチベーションを持つように変わっていく様子が観ていてとても気持ちよかったです。
ただ、この作品で描かれている南アフリカはもう10年以上前の姿のはずでして、こうやって少しずつ改革が進んだとすれば今はとてもすばらしい場所になっているはずなのですが、今現在の南アフリカの実情というのもこのときとさほど変わっていないように見受けられます。本作を観て、これだけ魅力あるリーダーを立てたとしても国を立て直すというのは本当にむずかしい事業なんだということをつくづく思い知らされました。
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