ハルフウェイ


ある日、ヒロ(北乃きい)は軽い貧血のため保健室にいた。そこへ、彼女が秘かに思いを寄せるシュウ(岡田将生)が、ケガの処置をするためにやって来た。そして、彼女に高校生活最後の奇跡が起きた! 親友のメメに切ない恋心を打ち明けていたヒロだったが、シュウに告白をされたのだ。だが、そんな2人の行く手には、“卒業”が待ち受けていた…。数々の大ヒット恋愛ドラマを手がけてきた脚本家、北川悦吏子の初監督作品。青春の初々しさ、恋人たちのすれ違い、相手を想う極上の気持ち…ピュアでまっすぐな恋愛模様を描く。主演は、TVドラマ「太陽と海の教室」のフレッシュ・コンビ、北乃きい岡田将生

『ハルフウェイ』作品情報 | cinemacafe.net

MOVIX宇都宮にて。
どこまでも続いているようにも見えるし、逆にすぐ目の前にあるようにも見えるような青い空を背景に、出てきては割れてを繰り返すしゃぼん玉の映像で始まるオープニング。このオープニングを観ながら久しぶりに「虹の女神」を思い出してしまいました。
観ているだけで頭の中まで空っぽになってしまいそうなほどに何もない空色の空間を見つめているただそれだけで、思い出の中の10代の頃へと少しずつタイムスリップしているようなそんな不思議な感覚を感じながら作品が舞台とする世界へとあっという間に連れ込まれました。


この作品で表現されている「10代の日常風景」というのはどれもものすごく美しくて、そのいずれも眺めているだけで言いようもないほどの幸せな気分に浸れます。このような魅力ある映像は「花とアリス」や「虹の女神」にももちろんあって、まるでスクリーン中に白い光があふれているような暖かい雰囲気がとても岩井らしいなと感じます。この作品だと保健室とか帰宅途中にある風景、そして駅のシーンがこれに該当するのですが、このようなシーンを観るたびに岩井さんはいいなーとしみじみ思い知らされるのです。
高校生活の終わりという点では「檸檬のころ」もとても似た雰囲気のある作品でしたが、あちらの作品が徹底して現実に即した映像で表現していたことと比べると、この作品は現在から過去を想起して描いているようなそんな印象が残りました。そう考えると、あの映像表現には、思い出の中の一風景をのぞているような効果があったのかなと考えたりします。


そしてこの作品で一番驚かされたのは、予想外の終わり方です。
観ている最中はこの作品が終わるタイミングというのがまったく予想出来なくて、終わった瞬間には思わず「え?」という言葉が口をついて出てしまったほどびっくりしました。ですが、そのラストも単に奇をてらっているとか意外性を狙ったという感じではなくて、ちゃんと意図があっての終わり方だというのは伝わってきたしいい意味で裏切られたという気持ちになりました。


ストーリーはそれほど興味深いというかものめずらしい感じではないのですが、個々のシーンのもつ引力がものすごくて終始スクリーンに惹きつけられっぱなしでした。主演二人もすごく適役で作品のもつ淡い色をした世界観にぴったりのイメージでしたし、また、仲里依紗の「クラスに一人はいそうな元気な女の子」っぷりはすごく面白くて、ちょっと落ち着いたベッキーみたいな容姿と明るいキャラクターを観てたら「そういえばクラスにこんな人いたよなー」なんて考えながら観てしまいました。


いろいろと湧き出てくる感想があるので書きたいのですが、先日「聞かれてもいない過去を勝手に語りだすのは年寄りの証拠」だと言われたばかりなのでとりあえずこのくらいで勘弁します。


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