「高校入試」読んだ

県内有数の進学校・橘第一高校の入試前日。新任教師・春山杏子は教室の黒板に「入試をぶっつぶす!」と書かれた貼り紙を見つける。そして迎えた入試当日。最終科目の英語の時間に、持ち込み禁止だったはずの携帯電話が教室に鳴り響く。さらに、ネットの掲示板には教師しか知り得ない情報が次々と書き込まれ…。誰が何の目的で入試を邪魔しようとしているのか?振り回される学校側と、思惑を抱えた受験生たち。やがて、すべてを企てた衝撃の犯人が明らかになる―。

https://www.amazon.co.jp/dp/4041104793

「好きなの?」と聞かれるとそうでもないと答えると思うのですが、なぜか湊かなえさんの本は全部読んでます。
すごく読みやすいし読んでいるとどんどん先が気になるし、かなり楽しんで読んでいると思うのですがいつも読み終えたときは「やっと全部読み終えた...」というやっと消化できたみたいな気分になります。

ストーリーもそれぞれ似たような作品はあまりないはずなのにどの本がどんなタイトルだったのか思い出せないので、毎回新しい本を買おうとするたびに「これ読んでなかったっけ?」とあらすじを読んで読んだかどうかを思い出しています。

どれも独白というか一人称視点の切り替えで進んでいく形式だからどれがどれかわからなくなるのかなと思ったりもするのですが、新しい本が出るたびに読んでみたくて買ってるわけですからきっとこの文体も構成も好きなんだろうなと言う気がしています。


本作は、とある地方の公立高校の入試を舞台にして物語ですが、さまざまな想いを抱えながら入試に関わる人たちを描いた作品です。卒業した大学よりもどの高校を出たか?ということのほうが重視されるという地方の価値観のいびつさや、人生のかかった高校入試という一大イベントに対する受験生サイドと高校サイドの意気込みのずれだとか思い当たる部分が多く見つかるとてもおもしろい作品でした。


ただ、作中でネット炎上を扱っているのですがこの描写がちょっと古臭いというかいまどきこんな牧歌的な炎上はないだろうと思うような内容でして、そこがちょっと違和感がありました。SNSもなさそうだったし、もしかしたら時代は現代よりも少し前のお話なんでしょうか。

現代のような「炎上したら一発即死」みたいなヒリヒリするレベルの日常的に見て慣れてしまうと、この程度の内容だと問題無さ過ぎて物語を盛り上げる抑揚に見えてきませんでした。

だからと言って、あまりリアルな炎上ネタを入れられてもどんよりするだけで楽しめないんですけどね...。