最近読んだ本の感想(2015/02/01〜2/15)


2015年2月1日から15日に読んだ本は2冊でした。

5. すぐそばの彼方

次期首相の本命と目される大物代議士を父にもつ柴田龍彦。彼は、四年前に起こした不祥事の結果、精神に失調をきたし、父の秘書を務めながらも、日々の生活費にさえ事欠く不遇な状況にあった。父の総裁選出馬を契機に、政界の深部に呑み込まれていく彼は、徐々に自分を取り戻し始めるが、再生の過程で人生最大の選択を迫られる…。一度きりの人生で彼が本当に求めていたものとは果して何だったのか。『一瞬の光』『不自由な心』に続く、気鋭の傑作長編。

http://www.amazon.co.jp/dp/4043720033

再読本。

最初に読んだときはわりと好きだなと感じたことはおぼえているのですが、2回目の今回はすごく嫌な気分で読みました。
本作は「中途半端に賢くて思い込みの激しい人が主人公」と白石さんの著書によくあるパターンでして、その主人公が小憎たらしくて好きになれません(笑)
ただ、物語が進むごとに主人公の心情への理解が深まっていって徐々にのめり込んでいくために白石さんの本はすごく好きなのですが、本作の主人公はとにかくどうしようもない感じで最後の最後までどうしようもないなという気持ちが消えることはありませんでした。

6. 母という病

昨今、母親との関係に苦しんでいる人が増えている。母親との関係は、単に母親一人との関係に終わらない。他のすべての対人関係や恋愛、子育て、うつや依存症などの精神的な問題の要因ともなる。「母という病」を知って、それに向き合い、克服することが、不幸の根を断ち切り、実り多い人生を手に入れる近道である。現役精神科医による、あまりにも感動的かつ衝撃的な提言!

http://www.amazon.co.jp/dp/4591137775

本当は本書の姉妹本である「父という病」という本を先に読みたかったのですが、「父親って必要ですか?」という帯の文言があまりに怖かったので同著者が書いている「母という病」をまずは読んで心の準備をしたうえで次に「父という病」を読もうと決めて、まずはこちらを読み始めました。


本書は「幼いころに母との関係が十分ではなかった人は、その寂しさ故に負った傷が追々大きな問題を引き起こす」ということを前提となっています。
内容自体に大きな異論を唱えたいわけではないのですが、例が極端すぎて反感をおぼえるひとが多いだろうなという印象は受けました。だって、こんなこと言い出したら、共働きの世帯なんて全部破たんしちゃいますからね...。幼いころに寂しい想いをした人がすべて問題を発症するわけではないし、もちろんそのことは著者も十分承知の上なのも分かるのですが、センシティブなことを扱っているわりにすべてが断定的かつ根拠が弱いせいで何か非常に胡散臭さを感じてしまいます。


何事も原因を正しく把握することはすごく大事だと思うし、原因が分かれば100%解決はしなくてもそれなりに気が済むこともあると思います。

そこそこいい年をした大人が「親の育て方がよくなかったせいでこんなふうになっちゃった」とすべての原因をそこに押し付けるのは違うんじゃないかという思いと、とりあえず自身の抱える生きづらさの原因がなにかわかるだけでも救われるのかも知れないという思いが交錯して複雑な気分で読みました。


何も発症しなかったケースなんて取り上げる必要もないのかも知れませんが、もうちょっとエピソードはバランスよく散りばめた方が怪しげな内容にならずになったんじゃないかなという気がしました。