1932年、格式高いグランド・ブダペスト・ホテルには、“伝説のコンシェルジュ”と呼ばれるグスタヴ・Hがいた。究極のおもてなしを信条とする彼は、宿泊のマダムたちの夜のお相手もこなし、多くの客が、彼を目当てにホテルを訪れる。しかし、彼の人生は一夜にして変わる――長年懇意にしていた“マダムD”が殺され、貴重なルネッサンス時代の絵画と莫大な遺産争いに巻き込まれたのだ。ベルボーイのゼロとともにコンシェルジュ・ネットワークを駆使するグスタヴは、誇りをかけて謎を解き、ホテルの威信を守ろうと大戦前夜のヨーロッパ大陸を飛び回る!
『グランド・ブダペスト・ホテル』作品情報 | cinemacafe.net
大好きなウェス・アンダーソン監督最新作!ということで公開初日に観に行ってきました。
ウェス・アンダーソン監督の作品だなと一発でわかる個性的な映像はあいかわらず健在でして、衣装や色使い、各シーンの構図やユニークな登場人物などなど観ているだけで頬が緩んでしまうすてきな作品でした。もう観てるだけでニヤニヤしちゃうくらいよかったです。
さて。
本作はいくつかの時間軸を階層的に積み重ねている構成になっていて、物語はその時間軸(時代間)を登場人物の回想をとおして行き来することですすんでいきます。具体的には「あるホテルに泊まりにいった男性がそのホテルのオーナーと食事をしながらオーナーになるに至った経緯を聞く」→「オーナーはむかし伝説のコンシェルジュの元で働いていてその当時のことを回想する」といった流れで物語は紡がれ、ホテルに泊まりに行った時代とその時代から回想される過去という2つの時間軸を行き来しながらすすんでいくのです。
複数の時間軸を行き来するとは言え、構造的・映像的にむずかしいとか理解しにくいということはないので安心していただきたいのですが、テンポよく語られるストーリーはとても心地よくてストレスなく楽しめたし観ている2時間はあっという間でした。
そしてもうひとつ特徴的だったのが、この作品がとてもエンターテイメント性の高い作品だったということです。
ウェス・アンダーソン監督の作品はよくもわるくもファン向けというか、作品のクオリティの高さは誰もが認めるところなんですがそれをおもしろいと思えるかどうかというとわりと観る人を選ぶ種類の作品が多い印象があります。本作も正直その路線ではないかと想像していたのですが、他の監督作品よりも非常に観ていてワクワクする、言い換えれば物語の展開自体を楽しめる作品になっていてそこはかなり「おっ」と驚かされました。
観る側に対してより幅広い層にも楽しんでもらおうという心意気が感じられたし、多少残酷で目を覆いたくなるシーンもありましたが全体のノリがすごく楽しくて感じられました。
ウェス・アンダーソン監督の作品はどれも甲乙つけがたいくらい好きなのですが、暫定ベストに挙げている「ファンタスティックMr.Fox」と同じくらいかなり好みの作品でした。DVDが出たらまた観たいです。
@TOHOシネマズ宇都宮で鑑賞
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