病弱な朔を見守るちょっと天然な修太、生意気だけど憎めない朔、そんな凸凹コンビに寄り添う活発なミチルの幼馴染3人。旅立ち、死別、すれ違いから生まれた失われた時を取り戻すため、江の島のいまとあの日を行き来する修太だったが…。徐々に変わりつつある“あの日”、そしてミチルの本当の気持ち。修太が最後に選んだ決断とは――?
『江ノ島プリズム』作品情報 | cinemacafe.net
(注意) 本エントリーには作品の結末や内容に触れている部分があるので未見の方はご注意ください
TOHOシネマズ宇都宮で観てきました。
予告は一度も観たことがなかったのですが、劇場に貼ってあった「青春真っ只中!」という雰囲気ただようポスターがとても気になったので観てきました。ストーリーはちょっと後回しにしますが、大雑把にくくるとタイムリープを題材にした物語でして非常に私好みの作品でした。すごくよかったです。
あらためてストーリーを簡単にまとめると「2年前に不慮の出来事で友人の朔を失った修太は、2年前の友人が無くなる前日にタイムリープする手段を見つけたので朔が死ぬのを防ごうとする」というお話です。2012年12月20日と2010年12月19日を何度も行き来して過去を変えようとするけど...というお話でして、ひじょうにユニークでうまくまとまっていることにいたく感心しました。
ただ、上述のとおりたいへんおもしろかったのですが、どこがよかったのかを思い出そうと細部について思い出そうとするとよくわからないことばかりたくさん思いつくことに気づきました。
キョウコさんは何で年をとらないの?
キョウコさんは見た目まったく年を取っていないように見えるのですが、あの原理がちょっとわかんなかったです。
プリズナーと言っていたので、おそらく時空の秩序を乱したがためにその身を囚われている状態なのだと思いますし、それはあの空間に時間を止められたまま永遠に貼り付けられるということなんだと思います。修太には自分と同じようになって欲しくないと言っていたので、修太はおそらく彼女と同じような過ちを犯したのではないかと思うのですが、ラストを見る限り修太は特定の空間に固定されている様子はありませんでした。さらに修太の年齢が変わっていないかどうかもちょっとわからなくて、けっきょく修太がどうなったのかがいまいちわかりにくいと思いました。
キョウコさんの話を聞いたときに時空を管理する人たちがいてその誰かに囚われているのかと思ったのですが、そうではなくて因果律のようなものを破ってしまったために自ずとあの状態になってしまったと考えるのが自然なんですかね。だとしたら修太はなんで?と思ってしまいます。
留学する時期やタイミングがすごく変
朔の命日から逆算するとミチルが留学をしたのは高校2年の冬休み。
短期留学だったら朔はあんなに取り乱したりしなかっただろうし、そう考えると長期留学なんだろうけど、でもこのタイミングで長期留学ってすごく不自然。編入するにしてももうちょっといいタイミングがあるんじゃないでしょうか。
あともしミチルが本気で留学したくてがんばっていたのであれば、親友である朔と修太がミチルがそうしたがっているということにまったく気づいていないというのもおかしいと思います。仮にミチルが留学することに気付いていたのであれば、いざ留学するというタイミングであんなにあたふたしてしまうというのもおかしいなと思いますし。
結末はそれでいいの?
修太のことが好きだったミチルは修太を忘れさせられちゃってるけどいいんでしょうか。
もちろん朔が生きている世界に戻したかったというのは分かるんですが、自分の存在は忘れられてもいいからそれを実現したいと覚悟するに至る経緯やきっかけがとても弱くてまったく共感できませんでした。ミチルの気持ちは完全無視ですしね....。
感動的な音楽は流れていましたが、押し付けがましい行動にちょっと引いちゃいました。
あと、作中で学校に忍び込んで3人で花火をするシーンがあるのですが、これがもうやり過ぎじゃないかというくらい派手で盛大に吹き出してしまいました。
この写真だとよくわからないと思うのですが、学校の屋上やグラウンド全体にドラゴンの強力版みたいな花火を仕込んでそれを一斉点火しています。この花火がもうあまりに激しくて「楽しく花火をしていたら学校が燃えてさあ大変」というトラブル勃発!という恐ろしい展開を想像してしまうほどでした。
小さな打ち上げ花火をポンポンとしばらく打ち上げていたし、いくらなんでもあれだけ花火をぶっ放して近所の人が誰も通報しないというのはさすがにありえないですよ...。というか当直の先生とかいないんですかね。
ここは感動的なシーンになんだと思うのですが、この花火の様子をtwitterに投稿したらきっと炎上するんだろうなあ....なんていうすごくどうでもいいことを考えてしまったせいでまったく感動できませんでした。っていうか、なんかこう全体的に感動しそうな話なんだけど感動しないなというのは感じました。
それともう一つ気になったのが、2010年〜2012年を舞台にしているわりにあまり携帯電話が出てこなかった点。
すごく意外でした。
時期的にスマートフォンはまだでしょうが携帯電話が出てくるシーンはもうちょっとあってもよかったんじゃないかと思うし、そういう違和感が"作品の設定"と"鑑賞して受けた印象"の乖離につながっているような気がしました。
あら探しみたいなことを書いてしまいましたが、そういうおかしいぞと思う点はありつつもでもほんとおもしろかったです。
もし、この作品の設定を活かしてスピンオフなりパラレルワールドのひとつを描いてくれるのであればぜったいに観に行きます。
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