「夏に読みたい1冊」といえば...


今週のお題は「夏に読みたい1冊」。

今年こそ夏休みに読もうと決めている本。夏やリゾートが舞台の小説。読書感想文の思い出。はたまたゾーッと震えがくるホラーなどなど。あなたの“1冊”を教えてください。投稿お待ちしております。

今週のお題は「夏に読みたい1冊」です - はてなダイアリー日記


わたしにとって夏は読書の季節ですので夏に読みたい本はたくさんありますが、その中からあえて一冊選ぶとすれば「夏の庭」を選びます。


夏の庭―The Friends (新潮文庫)

夏の庭―The Friends (新潮文庫)


あらすじを簡単にまとめると、死に興味をもった小学生3人が「近所に死にそうな爺さんがいるからそれを監視しようぜ」と近所にいる一人暮らしの爺さんが早く死なないかとのぞきみながら待つという、あらすじだけ読むと何だかとてもひどい話なんですが、そんな子どもたちの不謹慎な思い付きから始まった爺さんと子どもたちのふれあいがとても胸を打つ傑作です。読むたびにうれしさと寂しさがこみあげてきて泣けます。


「死に興味を持つ子どもたちのひと夏の成長を描いた傑作」という意味では、「スタンド・バイ・ミー」と似ている部分もありますし、ロードムービー的な要素はありませんが、「スタンド・バイ・ミー」が好きな人はこの作品も気に入るのではないかと思います。


死というのは、絶対的なものでありながらもあまりにとらえどころがないがゆえに子どもはその存在に興味を持つしそして畏怖の対象にもなります。もちろん大人になっても死というのはよくわかっていないしとても怖いのですが、それでも近親者の死などをとおして少しずつその存在を認知して受け入れていきます。そしてそういった経験がまだない子どもから見た死というものへの視点をこの作品はまっすぐにとらえていると感じるし、そう感じるたびにこの作品に強く惹きつけられてしまいます。


お盆があるせいなのか、何となく夏と死というのはとても近い気がするしそれが夏になるとこの作品を読みたくなることとか関係あるのではないかと思うのですが、あまりうまくまとまらないのでこのくらいにしておきます。