「LOOPER/ルーパー」見たよ


近未来―タイムマシンは開発されていたが、その使用は法で禁じられ、犯罪組織に利用されていた。彼らは、証拠を残さずに敵を消し去りたいとき、標的を30年前に転送する。“ルーパー”と呼ばれる暗殺者の元へ―。ある日、凄腕ルーパー、ジョー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)の元に、ターゲットの抹殺指令が入る。ところが、送られてきた男は“30年後の自分”(ブルース・ウィリス)。驚愕と混乱で引き金を引くことを躊躇ったジョーのふいをつき、未来のジョーは街へと消えていく――。

『LOOPER/ルーパー』作品情報 | cinemacafe.net


MOVIX宇都宮で観てきました。


むかしから、それこそ小学生のときにドラえもんを読み始めたときから、わたしはずっとタイムトラベルにあこがれていました。
現実では戻ることも早く進むことのできない時間というものの不思議さに魅せられていたわたしは、それをコントロールできるタイムマシンやタイムトラベルにあこがれていたし、そういった題材の作品が大好きでした。

そんなわたしのタイムトラベル好きを決定的にしたのは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」でして、かっこいいデロリアンに1.21ジゴワットというよくわからないけどすごそうな単位の電流を流すとタイムトラベルできるなんて言われると、もしかしたら時空旅行が実現できるのではないかと思ってしまったのです。そのことをあまりにピュアだと指摘されたら返す言葉もありませんが、でもあの作品ほど科学を学びたいというモチベーションになった作品はなかったし、あの作品を観ていなかったらもしかしたら大学で物理を専攻しなかったんじゃないかとも思っています。


ここまで「タイムトラベルしたいんだ!」というつよい願いをもっていたということについてつづってきましたが、実は最近はタイムトラベルにそこまで執着しなくなってしまいました。もちろん興味はまだあるのですが、ある考え方を知ってしまったためにタイムトラベルしてもしょうがないんじゃないかと思うようになったのです。

それはパラレルワールドという考え方です。

小説だと「七瀬ふたたび」、映画だと「ミッション:8ミニッツ」がまさにそのものずばりなのですが、いまを起点にした未来は無数に存在するというのがパラレルワールドの考え方でして、つまり過去と未来は1対1の関係にはなりません。ある点を起点にして無限の未来が存在するわけですから、タイムトラベルは時間を行き来するわけではなく無限に存在する平行世界を行き来していることになるのです。


私が過去に戻りたい、未来に行ってみたいと思ったときには必ず「いまとつながっている唯一の未来・過去」が存在することを前提としていました。逆にその未来と過去が唯一の存在ではなく無限に存在するのだとすれば、わたしは別にそこに行ってみたいとは思わないし、その平行世界の存在すら認めたくないとさえ思います。それは未来や過去ではなく、別の宇宙なんですよね....。


パラレルワールドの方が現実味のある考え方だという認識が一般的になるにつれ、わたしはタイムトラベルへの興味を失っています。


さて。

ずいぶんと前置きが長くなりましたが、本作は30年後からタイムマシンで送られてくる人を殺して処分するというルーパーという暗殺者として働く男性ジョーが、30年後から送られてきた自分を殺し損ねてしまうところから物語が始まります。30年後の自分をちゃんと始末しなければ、自分が始末されてしまうという「結局始末されるのはジョーじゃないか...」と、いたたまれない気分になりましたが結末までの展開はとてもおもしろくてかなり気に入りました。

ジョセフ・ゴードン=レヴィットの30年後がブルース・ウィリスという設定に説得力を持たせるために、ジョセフ・ゴードン=レヴィットの顔をブルース・ウィリスに似せるという荒業まで繰り出される始末でして、その強引さにも笑わせてもらいました。あれはないですね(笑)



で、細かいところはまあいいんですが、わたしがこの作品をすごく好きだなと思ったのはタイムトラベルを題材にしているのですがその世界観がパラレルワールドなものではなかったためです。30年後といまはパラレルではなくシリアルでつながっていて、そこには因果関係が存在しているということがとにかくよかったです。


戻りたい過去があり、つながりたい未来がある。


やはりタイムトラベルモノはパラレルワールドであるよりも、こういった一本線でつながった世界観がいいなと心底思いました。


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